言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

舌とは?読み方と役割を言語聴覚士が説明します

言語聴覚士が解説する「舌」の読み方と役割

最終更新:2021.01.10

 

食事の支援をする現場では、「舌(した)」のことを「ぜつ」と呼ぶことがあります。わざわざ呼び方を変えるのはなぜなのでしょうか?今回は舌の読み方、呼び方と、舌の役割について、ことばと食事の専門家である言語聴覚士が説明します。

  

 

 

 

「舌」の読み方

 

2通りの読み方があります。

① した

② ぜつ

一般的には「した」と読むことが多いです。それ以外にも「ベロ」と言うことも。

しかし、摂食・嚥下と呼ばれる、食事の支援に関する分野の人たちは「ぜつ」と言うことが多いです。

 

 

「ぜつ」と読む理由

 

なぜ、わざわざ「ぜつ」と読むのでしょうか?

専門家ぶっている、という理由ではありません。

・相手に伝えやすいから

ex.

「舌の下」と言うときに「したのした」と言ってしまうと、聞いた人は考えてしまいます。だから「ぜつのした」と、あえて言うのです。

 

 

舌の役割

 

では、この「舌」。どのような役割があるのでしょうか?

まず思い浮かぶのが

・味覚を感じる

ではないでしょうか?

 

 

役割① 味の感知

舌で「苦味」「酸味」「塩味」「甘味」「旨味」という味を判別します。

以前は、舌の場所によって感じられる味が決まっていると言われていました。しかし、最近では、舌にある組織それぞれが、すべての味を感じられる、という考え方に変わってきました。

 

 

役割② しゃべるための器官

 

その他にも、舌はしゃべるときに使われます。私たちが話すことばは、肺から出てきた空気を変化させたものです。舌や唇を使って、空気の通り道を狭めたり広げたりして、音をつくっているのです。

 

例① 「小中学校の英語の授業」

「L(エル)」と「R(アール)」で舌の使い方が違ったと思います。

 

例② 「舌がうまく使えないとき」

舌を火傷したり、歯医者で麻酔を打った後には、うまくしゃべれないことがあります。

これは、まさしく舌をうまく使えない状態だからなのです。

 

 

役割③ 食べるための器官

 

もうひとつ役割があります。

何かを食べるとき、私たちは歯で噛んで食べ物を小さくしていきます。しかし、それだけでは飲みにくい。

舌を使って噛んだ食べ物と唾液を混ぜていきます。混ぜることで塊りになるので飲み込むときにムセにくくなります。

 

 

うまく舌を使えていないとき

 

舌には

・味を感じる

・しゃべるため

・食べるため

の役割があることが分かりました。

では、うまく舌を使えないとどうなるのでしようか?

もちろん

・味を感じられない

・うまくしゃべれない

・うまく食べられない

という状態になります。

 

それ以外にも

・出っ歯になる

という危険性があります。

 

 

舌が出っ歯の原因?

 

障害がある子に多いのですが、日常的に舌が口から出ている子がいます。

ご飯を食べるときにも、本来ならば舌は口の中に入ったままのはずなのに出てしまっている子もいます。

舌が口から出ている、ということは、歯を内側から押している、ということ。

 

前歯が出てしまうと、口を閉じたときに上の歯と下の歯がうまく噛み合わなくなります。

口を閉じてご飯を飲み込まないと、食べ物を喉の奥にしっかりと送り込めなくなります。そのため、ムセる危険性が高くなるのです。

 

ちなみに、

指しゃぶりが激しい場合にも、歯が噛み合わなくなってしまうケースがあります。個人差はありますが。

 

 

まとめとして

 

今回は舌について、読み方と役割について説明しました。

 

機能としての役割は

・味を感じる

・しゃべるため

・食べるため

などがあります。

 

歯科医師や言語聴覚士などの専門職は舌を「ぜつ」と言うことがあります。

しかし、それに合わせることはありません。「ぜつ」と言い直さなくてもOKです。あちらは特に気にしていないからです。

専門職が「ぜつ」と言ったら、「舌のことを言っているんだな」と分かってもらえるとありがたいです。