言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできることを探っていくブログです

ことばの遅れが気になる!普段の生活でできることのポイント

ことばの発達を促すためにはできることは?

 

障害があってもなくても、ことばが遅れることがあります。

ことばの遅れ=言語訓練

というイメージが強くあると思います。

たしかに早期から訓練を始めることは大切です。

しかし、言語訓練よりも前に身につけておくべき力があるのです。

今回は、ことばの遅れに対して言語訓練以外でできることはあるのか?

というはなしです。

 

 

 

個人差が大きい時期

 

通常子どもは1歳くらいからしゃべり始めるといわれています。

この「通常」ということばがくせもの。

通常=普通

という捉え方になってしまうからです。

 

全員がきっちりと1歳になった時点でしゃべり始めるわけではありません。

数が多いというだけです。

1歳前からしゃべり出す子もいれば、3歳になるまでしゃべらない子もいます。

1歳から3歳というのは個人差が大きい時期なのです。

 

 

相談することのメリット


・友達の○○ちゃんは1歳前なのにたくさんおしゃべりをしている・・・
・うちの子は2歳だけど数個しか単語を言わない・・・

 

どうしても他の子と比べて心配になってしまいますよね。

だとしたら、出来るだけ早くから「ことばの訓練」を受けた方がよいのでしょうか?

 

 

一度相談してみると安心できる

 

心配なときには相談してみるとよいです。

誰かとつながることで、親御さんの気持ちが少し和らぐからです。

 

相談をできる場所はたくさんあります。

・発達相談センター
・発達支援センター
・こども家庭センター

など。名前は地域によって異なります。

役所や市報などに情報があります。

 

 

口が動くだけではしゃべれない!


ことばは訓練的な関わり方をするだけで身につくわけではありません。

普段の生活や遊びのなかでことばの土台をつくる必要があります。

 

ことばには土台となる力がある

 

ことばの土台とは、ことばを話すために必要な力のことです。

口だけが動くようになったとしても「話す」ことはできません。

直接関係ないような、生活や発達を見ていく必要があるのです。

 

ことばの育ちを促すために

 

・子どもの場合には“ことば”のみに焦点をあてた訓練は効果的ではなく“からだ”や“こころ”を含めた発達全体を促すことが必要となる。

分かるのが先、言えるのは後

・言えることばをふやそうとの教え込みより、伝えたい気持ちをしっかり育てるのが先決である。周りの大人がよい聞き手,じょうずな遊び相手になること,など
である。

 

『子どものこころとことばの育ち―親子を共に支援するために(中川信子)』P.8より
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shonijibi/34/3/34_234/_pdf/-char/ja

 

 

まずは生活のなかで分かることを増やすこと

 

ちょっとした体験や経験ができる場を用意してあげる。

経験を繰り返すことで気づき、理解できることがたくさんあります。

・一緒に虫や花を探してみる
・一緒に洗濯物をたたんでみる
・一緒に片付けをしてみる

子どもと一緒にやるということがポイントです。

大人と同じ目線で同じものを見るのです。

 

 

からだを使った遊びを充分に楽しむ

子どもは同じ遊びを何回も繰り返します。ブランコや滑り台、砂遊びなど。それらを行うと感覚が身体に入っていきます。

 

・ブランコ

 ⇒ 重力やスピード感などの「前庭感覚/ぜんていかんかく」

 

・抱っこ遊び

 ⇒ 手触りや肌ざわり、ギュッとした感じなどの「触覚」や「圧覚」など

 

・砂や粘土遊び

 ⇒ 手触り、掴んだ感じなどの「触覚」や「固有覚/こゆうかく」

 

・高い高い

 ⇒ 上下の揺れ、動きなどの感覚

 

子どもによっては、上記のような感覚刺激を感じづらい場合があります。

好きな感覚、嫌いな感覚もあります。

感覚刺激がしっかりと感じられれば、子どもの心も安定してきます。


からだを使って一緒に遊ぶこと自体が親子のコミュニケーション改善にも役立ちます。

ぜひ感覚を使った遊びにたくさんつきあってあげてください。

  

 

注意するべきこと


下記の様子がみられたら病院で相談してみるとよいです。

・聞こえが悪い
 ⇒ 音が聞こえているか?中耳炎で聞こえづらいこともある

 

・口の中のかたち
 ⇒ 口の中には様々な器官があります。上顎(口蓋/こうがい)が裂けていたり(口蓋裂)や舌の裏の筋(舌小帯)が短かったりするために上手くしゃべれないケースもあります。

 

・言語環境は適切か
 ⇒ テレビやスマホなどを見せっぱなし。身体を十分に使って遊んでいない。なんでも先回りしていってしまう、やってしまう。ことばかけが極端に不足している。

※ただし、原因を何でもかんでも「親の愛情不足」にしてしまうのは間違い!個の判断は慎重に!

 

・発達上の特性
⇒ 極度なこだわりや注意力の障害など

※ただし、「ミニカーを一列に並べる」「決まったことにこだわる」というのは発達に障害がない子にもおこりうる過程です。判断は慎重に!

 

 

「聞こえ」や「食事」もことばに関与

 

聞こえ

聞こえ(聴覚機能)を育てることも大切です。

ただ音や声が耳に入るだけでは聞こえると言えません。
細かく見ていくと順番があります。

 

音に気づく

音の聞こえてくる方向が分かる

音を聞き分けられる

音を理解する

 

ex.
・音や声に気づくこと
→声や音に気がついて耳を傾けるよう促す


・音や声がどこから聞こえてくるか気づくこと
→音や声がする方向が分かって、そちらを見たり、意識を向けたり


・音を聞き分けること
→何の音が聞こえるのか?人の声なのか、楽器の音なのか、車のエンジン音なのか?
音を聞き分けることができるようにすること

 

・音を理解する
→この音が何を意味するのか?目の前の人が言ったこと(声)はどんな意味なのか?

ex.
「ブービー音」
→正しくありませんよという警告音

ex.
「こっちにおいで」と言う声
→相手の方に行けばいいんだな、という理解ができるか

 

食事

「食べる」「しゃべる」は同じ口腔の器官を使います。

口腔機能の発達がしゃべるための基礎にもなるのです。

上手に食べることが上手にしゃべるための近道ということもできます。


・食べる
⇒唇で食物を取り込む→舌で食物を移動させ→口のなかで転がして塊にする→それを喉の奥に送って→飲み込む。飲み込むときにも首や舌の根元など、直接口と関係なさそうな部分も使う必要がある。

 

・喋る
⇒肺から空気を出す→その際、声帯のそばにある声門が開いたり閉じたりする。この開き具合で音が変わる→舌の位置や口唇の開きでも音は変化→声が出る。

 

「食べる」力や一連の動きを高めていくことが「しゃべる」ことの上達につながっていきます。
唇や舌、顎(あご)などが上手く動くようになることが欠かせません。

それぞれを動かす練習と言うよりは、すべての器官が一緒に協力(協調)して動けるようにする必要があります。

 

 

まとめとして

今回はことばの遅れについて説明しました。

言語訓練以外にも、日常の中で出来ることはたくさんあります。

生活や遊びを丁寧にやってみてください。

きっと子どもの様子が変わってくるはずです。

 

ポイント!

まずは土台作り

そして、しゃべることが心地よいと感じられるようにしてあげられるとよいです。

・子どもが何か言ったら大人がそれに笑顔で応じる
・子どもの興味や関心にそった声かけをする
・子どもの理解度にあわせる