コップとストロー。発達的にはどっちで飲む方がよいのか?
最終更新:2020.12.29
子どもの水分摂取には様々な方法があります。コップ、ストロー、スプーン、レンゲ、吸い飲み、シリンジなど。
しかし、どの方法が子どもにとって良いのでしょうか?
例えばストロー。外出先でストローを使うと、こぼすこともありませんし便利です。しかし、デメリットも多いのも事実です。
賛否両論がある「ストローの使用」は発達的にはどうなのでしょうか?今回はストローの使用について紹介します。
コップとストローが使える年齢
生後6ヶ月ころになると離乳食を始める子が多いです。少しするとストローを使える子が増えてきます。
さらにもう少しするとコップで飲むことができるようになってきます。自分で啜り取り(すすりとり)をして飲んでいくようになるのです。
一般的には離乳食が2回食になる7~8ヶ月くらいからコップで飲む練習を始めます。
このくらいの子はストローで飲めるようになる時期です。
ストロー飲みのメリット・デメリット
メリット
●お出かけ先で保護者や支援者が楽
水筒からコップにつぎ直すよりも、ストロー付きのものをサッと出した方が簡単ですし楽ではあります。
なかには介助は必要だけれどじっとしていられない子もいます。家ではこぼしても拭けば良いだけですが、外出先ではそうもいかないこともあります。
●肢体不自由の子の代替えのものになる
障害があるために動きに制限がある子もいます。そういう子の場合ストローを使った方がうまく飲める子もいます。
●口を閉じる必要がある
ストローで飲むときは、口を閉じないと飲めません。そのため「口を閉じる」練習の一環としてストローを使うケースはあります。
デメリット
●悪癖がつく可能性がある
ストロー飲みは、母乳を飲むときの口の動きに似ています。ストローでばかり飲んでいると、様々な悪癖がつく可能性があります。その例として下記の
●赤ちゃん飲みが抜けにくくなる
乳幼児嚥下とは、舌を出しながら飲む、いわゆる赤ちゃん飲みのことです。これが残ってしまうと私たち大人の食べ方である成人嚥下に移行しにくくなってしまいます。
●口唇の力が育まれにくくなる
ストローは吸うだけで飲みものが出てきます。そのため、コップ飲みのような「口唇を閉じて飲む」経験ができなくなります。
口唇を閉じる(口を閉じる)ことは鼻呼吸や嚥下の助けなど、様々な機能の土台となるものです。
ストローを使う際の注意点
●ストローを長くくわえ込んでしまう子
深くくわえてしまうと
・喉の奥を傷つける
・口唇を使わなくなる
・ストローを噛んでしまう
危険性があります。ストローは唇だけで短くとらえることが大切です。歯ではなく唇です!
●ストローを噛む
ストローが長すぎると噛んでしまいがちです。子どもに「噛まないの!」と何度も怒るくらいなら、はじめからストローの長さを調節してあげたほうがよいです。
ストローを使った練習
食べるための練習(嚥下訓練)や喋る練習(構音訓練)のなかにはストローを使って息を吐くものもあります。目的は下記のようなものがあります。
・口を閉じる(口唇閉鎖)
・食物を口の中にとどめておく(口腔内保持)
・鼻から逆流しないようにする(鼻咽腔閉鎖)
・行きを長く強く吐く練習(呼気増大)
基本的に息を吐きます。しかし「吐く動き」は目には見えません。そのため、ストローを使って水分を飲むことで口を閉じる練習をすることがあります。
環境的な問題
近年、環境保護の視点からプラスチックストローの廃止が叫ばれています。確かに資源の無駄遣いはおかしな話しです。しかし、プラスチックの代替えである金属のストローによる事故も多発しています。
一方、身体に障害を持った子のなかにはプラスチックのストローだからうまく飲めるという子もいます。
イギリスでは使い捨てのプラスチック製のストローの提供・販売をすることが禁止となりました(2020年4月~)。しかし、障害者などそれを必要とする人たちへは提供可能となっています。
日本でも「プラスチックストロー」の問題は多角的にみていく必要があります。
まとめとして
発達的にみても、ストローのメリットはあまりありません。
しかし、子どもによってはストローを使った方が上手に飲める子も多くいます。特に障害を持った子のなかにはそういう子もたくさんいます。
保護者の方で「お出かけのときにストローを使いたい」という願望をおっしゃるは多いです。確かに介助が楽だからという理由の方もいます。
しかし上記のような理由の方もたくさんいます。支援者はその願望を「ストローにはメリットはありませんよ」と無下にはできないのではないでしょうか。
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参考資料
◆小島歯科医院 ポカン口が増えています
http://kojima-dental-office.net/20081120-232#more-232
◆滝歯科医院 本来の口の機能発達を見守る
https://www.taki-dc.com/blog/485