言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

手話以外のサインって?ことば(音声)を使わない伝達手段の種類

手話のような手を使ったサインの種類

手や身振りなどを使って相手に何らかの情報を伝える「サイン」。

代表的なものとして「ジェスチャー」や「マカトン」などがあります。

ここでは、様々なサインの説明を紹介します。

 

わたしは、ことばの専門家(言語聴覚士/ST)として長年、ことばに遅れを持つ子たちと関わってきました。

障害の有無に関係なく、ことばの発達に何らかの困難さや遅れによって、しゃべらない子がいます。

そういう子たちに療育の一環としてサインを使うことがあります。

よく聞かれる「サインを使うと言語獲得の邪魔になるのか?」というのは本当なのでしょうか?

今回は、サインの話しをします。

※現在、「手話」はサインというよりは「言語」のひとつだ、という考え方が一般的になっています。

 

 

サインとは?

サインとは何らかの意味を持つ「もの」や「しるし」のことをさします。

つまり、ことばを使わず、手や身体の動き、表情などを使って相手に気持ちや情報を伝えるものです。

 

 

誰が使うものなの?

音声言語(ことば)を使わない人や子、すべての人が使うものです。

障害があってもなくても。

音声とサインに優劣はありません

「サインはちょっと・・・」という人がいます。

なぜそう思うのか聞いてみると「何となく」「音声の方がいい」と答えることが多いです。

サインは ことばを持たない人が自分の気持ちや意図を伝えるためのツールです。

相手に自分の思っていることをつたえるといことは、誰もが持つ権利なのではないでしょうか?

 

 

手話以外のサイン

日本だけではなく世界中に「サイン」は存在します。

様々な種類があります。

なかでも有名なのは「手話」です。

手話は言語の中のひとつとして位置づけられています。

それでは、手話以外の「ことばを使わない」サインをみていきましょう。

 

ジェスチャー

相手に何かを伝えるために身体の動き(身振り)を使うものです。

「身振り」と同じ意味で使われることが多い。

 

身振り

感情や意図を伝えるために身体を動かすことです。

動きそのものを「身振り」と呼びます。

「ジェスチャー」と同じ意味で使われることが多い。

 

ボディ ランゲージ

音声に頼らずに身振りや顔の表情などを使って相手に気持ちや意思を伝えることです。

身体言語(しんたいげんご)や身振り言語(みぶりげんご)ともいいます。

 

※「ジェスチャー」「身振り」「ボディ ランゲージ」の違い

国によって意味が異なってしまうことがあります。それがこれらの相違点!

 

「ボディランゲージ」

⇒社会的な「約束」を知らないと使えない場合がある

ex.「ウインク」

欧米では「わかってますよね?」という意味で使われる。日本ではそのような使い方はしない。

 

「ジェスチャー」「身振り」

⇒社会的なルールを知らなくても使うことができる。

 

表情

表情で相手に意図を伝えることができます。

 

ex.

・苦笑い

・笑顔

誰かに怒られている最中に、後ろを向いて笑ったりした経験、ありませんか?

 

 

マカトンサイン

ことばやコミュニケーションに遅れや困難のある人ために使われています。

言語指導法のひとつで、イギリスで考案されました。

手話と異なるのが マカトンは音声同時提示ということ。

つまり、口で「トイレ」等、言いながらサインを出すということです。

手話では基本的に声を出しながら手を動かしません(日本手話)。

 

メリットは、手話の単語と比べるとシンプルだということ。

デメリットは、日本でマカトンを扱うトップの団体が「マカトンを使いたかったら研修を受けてくださいね」といっているということ。

 

 

ベビーサイン

手を動かすことで赤ちゃんとお話ししてみましょうというもの。

メリットは、赤ちゃんとやり取りしている実感が得られやすいので、育児のストレスが軽減される(されやすい)ということ。

 

ex.「帽子」

頭を軽くポンポンと叩く

 

 

その他のサイン

上記のもの以外にもサインはあります。

「文字」

文字も相手に自分の考えや気持ちなどを伝えるための道具です。

「記号」

記号もサインの仲間です。

書かれているものには意味が含まれています。

ex.

「○☓」「+-」もそうですし、トイレの看板、交通看板なども記号の一種です。

 

モールス信号

発信機が打電する「トン・ツー」という音の長さで通信をします。

伝えたいことばを「短点(・)」「長点(-)」「区切り(空白)」に変換して表します。

無線などで使われます。

 

ex.「言語聴覚士」

「-・-- ・・ ・-・-・ ---- ・・ ・・-・ ・・- ・-・・ ・・・- --・-・ 」

「なんでもモールス信号」https://morse.ariafloat.com/

 

 

サインは言語発達を邪魔するのか?

わたしは言語聴覚士(ST)として、ことばの遅れがある子、喋らない子と関わっています。

そのときに、支援者や親御さんからよく聞かれるのが

「サインばっかりしていたら、喋れなくなっちゃうんじゃないの?」

ということ。

気持ちはわかります。

でも、大丈夫。

逆です。

昔は、そんなことを当たり前にいう人ばかりでした。

最近ではサインを使うことでことばの獲得に役立つといわれています。

「サインは悪」と言って聞かない人には注意しましょう。

 

 

まとめとして

今回はサインについて説明しました。

しゃべらない、指さしもしない、身振りもしない、という子たちがいます。

こういう子たちは「自分の気持ちを相手に伝える手段を持たない」状態にあるといえます。

それって、とてもつらいことだと思います。

少しでも、ひとつでもサインを身につけることで、他者と気持ちの共有ができる

気持ちも軽くなるはずです。

サインは障害がある子にもない子にも役に立つツールです

よかったら参考にしてみてくださいね。