放課後等デイサービスの何が嫌になるのか?
放課後等デイサービスの仕事がつらいときと思ったときに。
目に見えない「障害」を相手にする言語聴覚士(ST)。
これに人間関係、保護者との関係も付きまといます。
療育以外の場面での問題が多くなりがちです。
苦労しているSTも多いのではないでしょうか?
嫌になる要因はいくつもあります。
放課後等デイサービスでSTなんてやってられない!
そう思っている人もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は放課後等デイサービスでSTが働くとき、どんなことが嫌になりやすいのか?
どうすればうまくやっていけるのか?
をSTのわたしが考えてみました。
放課後等デイサービスとは
その前に、放課後等デイサービスとはどんなところなのでしょうか?
簡単に言うと障害を持った子たちが放課後に過ごす場所です。
わたしは長年、放課後等デイサービスで勤務してきました。
STの国家資格を取ってから一番長く働いているのが放課後等デイサービスです。
現在も田舎の放デイでSTとして勤務しています。
そんな私が「なぜこんなに長く続けられたのか」考えてみました。
STは「何でもできる」わけじゃない
「言語聴覚士(ST)は喋れない人を喋れるようにする人でしょ」
STのことをよく知らない人から聞かれることが多いものです。
しばらくして「STって大したことができないんだ」という軽い落胆、などなど。
STに直接言ってくる人はあまりいませんが「そんなふうに思っているんだろうな」こともはあります。
もちろん被害妄想的ではありますが。
STが感じやすい不安とは?
不安で押し潰されそう
放課後等デイサービスに入職したら、その事業所で初めてのST(専門職)だった、ということがあるかもしれません。
PTやOTもいるけれど、月1回来るだけで、あまり相談もできない。
経験の浅いスタッフですと自分自身の技術や知識に不安があります。
どのように他の職種と接すればよいのか迷います。
不安や責任で押し潰されそうになりますよね。
負の連鎖
ひとつ不安なことがあると考えがどんどんマイナスの方へいくことがあります。
・関わっている子どもの発達が進まないのは私がよい支援をできていないからだ
↓
・そもそも、支援も訓練もできているのか?
↓
・保育スタッフや保護者からの相談にも、ちゃんと応えられているのか?
↓
・みんな、私(ST)のことを「役に立たない」と思っているに違いない
↓
・私よりも他のSTの方がよかったのではないか?
↓
・私はダメだ という悪循環に陥っていないでしょうか?
すべての原因がSTにあるとは考えにくい
実際に、個別訓練をして子どもに発達の伸びがみられたとしても要因が分かりにくいです。
「訓練のおかげ」良くなったのか、元々、その子が持っている力で」良くなったのか。
判断しづらいことが往々ににしてあります。
その逆も同様です。
長い間、その子と一緒にいることで“みえてくること”もたくさんあります。
そこから仮説を立てて支援に結びてけていくことで、良い方向に向かうこともたくさんあります。
気持ちが楽になるSTの働き方
放課後等デイサービスで言語聴覚士として働くうえで、どんなことに気をつければ気持ちが楽になるのでしょうか?
そもそもSTに求めるものがあまりない
保育スタッフからSTに対して「PTやOTの方が役に立つ」と思われていようが、気にしない。
⇒ 今、自分ができることから、コツコツと誠実に積み上げていくことが大切です。
急に「役に立つ」職種と思ってもらうのは難しいです。
自分の知識や技術に自信がない
はじめから知識や経験が豊富なSTなんていません。
子どもと関わりながら少しずつ身につけていくものです。
⇒ まずは、「嚥下」「コミュニケーション」「ことば」などの、自分の得意な分野や興味のある分野から攻めていく。
そういう分野から、子どもを丁寧にみていくことで「自分に足りていない知識や技術」がみえてきます。
足りていない領域の知識は、勉強すればよいのです。
興味のある分野なら、勉強も苦ではないはずです。
さらに勉強を続けていくと他の分野と重なる部分にぶつかります。
その重なった部分が曖昧だったら、また勉強し直してみる。
そうやって勉強を進めてみる。
理解を深め、実際の評価などに活用してみることで、気がつくと周囲のスタッフから「この分野はSTに聞けばよいのか」と認識してもらえるようになってきます。
やりたい分野とは違うものを求められる
得意でない領域であっても、STの領域であれば受け入れよう。
「知ったかぶり」は厳禁!
⇒ 興味がなくても、施設側から求められる分野もあると思います。
その場合も、最初はあまり乗り気でないかもしれませんが、気づくと職場でその分野のの第一人者になっているものです。
実際に、私も養成校時代には「摂食・嚥下」の分野にまったくといっていいぼど興味が持てませんでした。
いざ、働き出すと、施設側から一番求められるものが「摂食・嚥下」。
そのため、勉強したり、研修を受けに行ったり、認定士の資格を取ったりしました。
必要に迫られると意外と頑張れるものです。
STは、周りと協力することで、より輝く職業
嫌なことは気にしない。
これが大切です。
「気にしない」というのは、なんだか無責任な考え方のように思うかもしれません。
真面目な人ほど、そう思ってしまう傾向があります。
しかし、考え方や頑張り方のベクトルの向け方を意識することで、自分の仕事っぷりも変わってきます。
まずは、意識すること。相手の考え方を変えようとするのではなく、自分自身の考え方を変えるのです。
STは、一人では大したことはできません。
PTやOTなど近い職種の力を借りながら、保育職や支援職、医師・歯科医師と連携をとることで輝ける職種だと感じています。
一人じゃ何もできないことも「気にしない」。
助けてもらいながら進んでいく。こう考えると、楽になります。