言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

スタンダードプリコーションとは?感染症予防は看護師から学ぼう!

スタンダードプリコーションとは?

スタンダードプリコーション(標準予防措置策)。

これは感染症対策の考え方です。

医療分野だけでなく、福祉や教育など、様々なところで使われるようになりました。

もともとは看護師が持っている考え方です。

今回は、この考え方のおさらいと、放課後等デイサービスのような施設でどう活用できるか?というはなしです。

目に見えない「感染」と戦うために、私たちが持っておくとよい知識とは何でしょうか? 

 

 

スタンダードプリコーション?

 

感染症対策の大本となる考え方です。

もともとは、1985年にアメリカの国際疾病予防センター(CDC)が院内感染症対策のガイドラインとして提唱したものです。

standardが「標準」、 precautionsが「予防」。

 

スタンダードプリコーションとは
(standard precautions、標準予防措置策)

「すべての患者の血液、体液、分泌物、嘔吐物、排泄物、創傷皮膚、粘膜などは、感染する危険性があるものとして取り扱わなければならない」という考え方を基本としています。


高齢者介護施設における感染対策マニュアル
厚生労働省(平成25年3月)
https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/dl/130313-01.pdf

 

 

感染症の有無にかかわらず、すべての子を対象に、以下のものを感染の可能性のある物質としてみなします。そして対応する予防策をとっていきます。

① 血液
② 傷のある皮膚
③ 粘膜
④ すべての体液(汗を除く)
⑤ 喀痰
⑥ 排泄物(尿、糞便、吐物等)
⑦ 膿
⑧ 胸水・腹水

 

感染しているかどうかではなく感染する可能性のあるものはすべて「感染リスクのあるもの」として対応していくのです。

感染源、ルートを遮断する

それがスタンダードプリコーションの考え方です。

それを実践することで未知の病原体からも暴露を防ぐことができます。



 

感染予防の方法

 

スタンダートプリコーションの目的は、感染のリスクを低減することです。

感染予防の方法は下記の通りです。

 

 ① 手洗い

感染源となりうるものに触れたとき、他の子どもに触るとき、手袋を外した後などに手洗いを行います。

子どもと関わっていると、どうしても唾液や痰が手についてしまいます。

その際には手を洗います。

感染リスクの高い時期に、指しゃぶりが激しい子に対しては、唾液のついた手や口元を都度拭いてあげます。

同時に2人の子の食事介助の食事介助を行うなんて、もっての他です。

 

 

手袋

血液や体液分泌液、排泄物、口腔内、正常ではない皮膚など、感染源となりうるものに触れるときに使用します。


手洗いができないことの代用として使ってしまいがちです。

しかし、「この手袋はまだきれいだから」と、その手のまま電話やパソコンに触ってしまうと、それらからに菌をもらうケースもあるのです。

せっかく無菌のはずの手袋が感染源と化してしまいます。

 

 

マスク、ゴーグル

マスクは、血液や体液などの飛散から自分の身を守るためにつけます。

それに加えて、自分が感染していた時に外に飛散させるリスクを下げます。

ゴーグルも同様です。

目から感染するケースは意外と多いです。

まさに盲点。

 

 

ガウン

自分の衣類が汚染される可能性のあるときに使います。

次の処置に移るときには交換します。

 

 

リネン、マット

汚染されたリネンやマットで他児が感染することがないように交換や消毒を行います。

 

 

 

放課後等デイサービスでの感染予防

 

それでは、放課後等デイサービスではどんなことを気をつけていけばよいのでしょうか?

 

どんな感染ルートが考えられるか?

 

・介助者が手を洗わずに複数の子のオムツ交換

・複数の子の食事介助を同時に行う

・子ども同士の接触

・唾液のついた玩具の使いまわし

・物陰に嘔吐 

・子どものくしゃみ

・ドアノブ

・水道の蛇口


などなど。挙げたらきりがありません。

だからこそ、普段からきれいにしておくことが大切だといわれているのです。

 

 

子どもが感染しないために

 

放課後等デイサービスは、様々な障害の子が通っています。

なかには、感染症にかかると重症化してしまう子もいます。



介助者が媒介とならないこと

自分が感染して子どもにうつすことがないようにする。

この考え方は、どの職種に関わらず、医療、福祉、教育で働く人には自然と根付いているものです。

自分が感染しないようにするのは当たり前。

自分が感染したとしても子どもにはうつさない。

インフルエンザの流行シーズンや新型コロナウイルス対策の時期だけではなく、普段から頭の片隅に置いておくとよいです。

 

 

子どもの体調管理をしっかりとおこなう

平熱が高い子もたくさんいます。

普段から子どもごとの平熱を把握しておくことは大切です。

「前日に熱が出て薬を飲んだら治りました」という話しを聞きます。

座薬で熱が下がったからと言っても完治したわけではない。

それは注意しておきたいです。

子どもに「(他児との)距離を取って!」「おとなしくしてて!」と言っても、それは無理な話です。

大人が調整してあげないといけません。

 

 

他職種から学ぼう

 

正しい知識がないと我流になってしまうことがあります。

それが施設のなかで「正しいこと」「当たり前」になることがあります。

新人に対する指導も当然のようにそれに基づいて進められていきます。

これでは、改善できる余地がなくなってしまいます。

自分の施設に看護師がいれば、その人に教えてもらう。

いなければ外部研修などで習う等、自分の職種の見解では不十分なところを補っていきます。これが大切。

なかには「私の考えが正しい。習ったら負け」と無意識的に考えている人もいるかもしれません。

そうじゃない。

一つの職種ですべて補うことなんでできません。

だから、他職種の力を借りるのです。

他職種から教えてもらったことは、結果的に自分(教わった側)の力となります。

 

 

まずは手洗い


では、なにから始めればよいのでしょうか?

当たり前だと思われがちですが「手洗いで始まり、手洗いで終わる」と言われるくらい感染症対策における手洗いは重要です。

・外から帰ってきたとき

・トイレ介助の後

・食事介助の前後

など、保育中にできていますか?

特に、肢体不自由の子のトイレ介助(オムツ交換)では、オムツ介助の後に子どもを移動させてから手を洗う、という順番が逆になっているケースが非常に多いです。

 

実際に手を洗っても不十分なことが多いといわれています。

下記は、洗い残しのイメージ図です。

意識的に洗わないと、手には菌が残ってしまいます。

 

 

まとめとして

 

菌や感染ルートなどは目には見えません。

「自分は感染しないから大丈夫」と根拠のない自信は持たずに感染を断ち切っていくこと。

過度におびえるのではなく気を配っていきます。

まずは手洗いをしっかりと行うことを習慣としていきます。

・感染しない

・媒介とならない

そのために、スタンダードプリコーションの考え方を取り入れて、意識を変えていきましょう。

意識を変えることで、子どもたちを守っていきましょう。

よかったら参考にしてみてくださいね。