言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

日本語版トイトーク(Toy Talk)ってなに?簡単に説明します

日本語版トイトーク(Toy Talk)って何?

ことばがゆっくりな子に、STができるやさしいアプローチ

放課後等デイサービスで出会う子どもたちの中には、「ことばがなかなか出ない」「単語は出るけど、文章にならない」という子も少なくありません。そんな子どもたちへの声かけ、どうしていますか?

今回は、そんな子にぴったりなアプローチ、「日本語版トイトーク(Toy Talk)」をご紹介します。
ご家庭でも、現場でもすぐに実践できる、やさしくて効果的な方法です。

 

 

 

トイトークって何?

トイトーク(Toy Talk)は、もともとアメリカの言語学者Hadleyらが開発した支援法です。
英語圏の子どもたちが「主語+述語」のような文で話せるようになることを目指して考えられました。

そしてこの方法が、日本語に合わせてアレンジされたのが「日本語版トイトーク」。
名詞や動詞のはっきりした文を、大人が意識的に使って声をかけることで、子どもがまねしやすく、自然に“文で話す力”を育てていけるアプローチです。

 

 

トイトークを試してみよう

主語とか述語とか言われてもピンとこないかもしれません。しかし、トイトークとは、大人の視線をちょっと変えてみるアプローチ。他の「○○療法」と比べてもシンプルで、手を出しやすいです。

療育や訓練をする人だけでなく、親御さんにもオススメできます。

 

 

2つのルール

トイトークの基本は、2つのルールだけ。とってもシンプルです。

 

① 物を主語にして話す

おもちゃについて話します(名詞を主語にして話す)。たとえばこんな感じです。

 

ex.

✕「やってごらん」「これどうする?」(←命令や質問)
〇「車が走ってるね」「犬が鳴いたね」

※「○○が〜する」と、大人が主語を言うことで、子どもがまねしやすくなります。

 

② 動詞を明確に伝える

動きや状態について話します(動詞をしっかり言う)。動きのある玩具を使って、動詞をはっきり伝えるのです。

 

ex.

〇「りんご、食べたね」
〇「ロボットが歩いてるよ」

 

※ 日本語は主語や動詞が省略されがちなので、あえて“しっかり言う”ことが大切なのです。

 

 

どうしてことばが育つの?

ことばがゆっくりな子にとっては、「何をどう言えばいいか」のモデルが必要です。
でも、日本語は文脈依存の言語なので、大人が主語や動詞を省略すると、子どもは言い方を学びにくくなります。たとえば・・・。

 

ex.

「ほら、それ、取って」→ 何をどう言えばいいか分からない
「バナナ、食べたね」→ 文のかたちが見える

 

※ トイトークでは、子どもがマネしやすい「文のモデル」を、大人が繰り返し見せることで、文で話す力を育てていきます。

 

 

トイトークを使う場面

トイトークは、言語聴覚士(ST)が放課後等デイサービスの現場やご家庭で支援するときにも、とても使いやすい方法です。ST以外の職種でも役に立つのでぜひ使ってみてください。

 

保護者支援として

保護者に対して、子どもへの声かけのルールを分かりやすくするよう提案します。普段、自分がどのような声かけをしているか?覚えていない人もいるかもしれません。

そのときは、子どもとの関わる様子を動画や録音で記録してもらいます。それをSTがフィードバックするのです。他人から言われると、声かけの「クセ」に気づきやすいはずです。

 

遊びや訓練などの中で活用

子どもが好きな玩具を使って、自然なやりとりを楽しんでいるときにトイトークを使ってみます。大人自身がトイトークのモデルとなって声をかけます。そのやり取り自体が、楽しく遊びながら、文で話すキッカケづくりとなります。

 

チーム支援の中で

保育士や支援職などの、実際に子どもと関わるスタッフに、トイトークを紹介してみてください。スタッフの性格も様々。声かけだってバラバラなはずです。それを、一貫した声かけのスタイルにすることで、支援の柱ができます。スタッフが「言語環境そのものを育てる」視点をもつキッカケにもなります。

 

どんな子におすすめ?

トイトークは、こんな子に特におすすめです。

単語は出るけど、2語文がなかなか出ない

自分の行動や気持ちを、ことばで伝えるのがむずかしい

質問には答えるけど、自分から話すのは苦手

 

 遊びの中で自然に「文」を聞く・使うことができるので、負担感も少なく取り入れられます。

 

注意したいこと

トイトークは「言い方の正解を教える」方法ではありません。目的は、「ことばのモデルを見せる環境づくり」です。ポイントは、子どもが話す前に、大人が全部言ってしまわないことです。これ、意外とできていない大人が多いのです・・・。

トイトークに限りませんが、療育的な関り方をしたからといっても、すぐには変化がないことの方が多いです。

「待つこと」これが様々なアプローチで一番大切なことです!

子どもの発達段階にあわせて、無理なく、楽しく、です。

 

 

まとめとして

今回は、日本語版のトイトークの紹介をしました。放課後等デイサービスには、様々な発達の子どもがいます。その中で、ことばの発達を支えるには、ちゃんとした「声かけ」が何より大切です。

どんな子供にも使うことのできるアプローチです。トイトークは、簡単で負担の少ないやり方といえます。子どもに何かしてあげたいな、と思っている方は試してみるとよいかもしれません。

よかったら参考にしてみてくださいね。

www.hana-mode.com

 

レイトトーカー(ことばが遅い子)に対する支援が書いてある本です。このなかで「トイトーク」のやり方等が書かれています。