言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできることを模索しています

スポンサーリンク

久しぶりに障害児へ食事介助をする人のための確認ポイント① 姿勢・食形態

障害を持つ子への食事介助ポイント ①

何らかの理由で、障害を持った子への食事介助をしていなかった人は結構いると思います。久しぶりだと、色々忘れていることもあります。介助者が緊張してしまうと、解除される側の子どもも緊張します。そうならないためにも、食事が難しい子への食事介助について復習しましょう。1回目は「姿勢」と「食形態」についてです。

 

 

  

1)姿勢のチェックポイント

 

食べる前にチェックするポイントがあります。それが「正しい姿勢」になっているか、です。

「この姿勢をしておけば絶対に事故は起こらない」というのはありません。

子ども状態によって変わってくるからです。それでは、見るポイントを部位ごとにみていきましょう。

 

 

①顔・頭

 
 

 

「顎(あご)が上がっていないか?」

私たちは飲み込む際、食物が肺に入らないよにするため、反射的に気道の入り口に蓋をします。

顎が上がっているとその蓋がしっかりと閉まらないことがあります。閉まらなければ、食物や水分は肺へ一直線です。

食べるときには、なるべく顎を少し引いた状態にします。その姿勢をずっと保つのが難しい子もいます。そのときは、食物が口に入ってから飲み終わるまでの間だけは頑張ってもらうようにします。

 


②腰

 

「腰はしっかり入っているか?」

車椅子や座位保持椅子に座る際、腰が奥まで入っていないままの子がいます。パッと見では分からないことが多いです。

実際に腰の裏に手を入れて確認します。これが意外と抜け落ちがちです!

腰に隙間ができると、身体がずれる可能性が増えるということです。

ズレれば妙な体勢になるので、力が入ります。体中に力が入ります。

特に、頸部(首)に力が入ると、嚥下の際、うまく飲み込めなくなります。

過度に緊張が強い場合には、笑わせると脱力する子もいます。

このとき、脱力の持続をねらうと失敗します。一瞬だけ脱力してもらえればよいのです。

力が抜けている隙に、サッと姿勢を正してしまう。これがポイントです。

 

 

③手足

 

「リラックスできているか?」

適度に脱力ができているか?無理な姿勢になっていないか?

緊張が強い場合も問題ですが、逆に、緊張が低い時にも気をつけてあげたいです。

介助で姿勢を整えている最中に、子どもの手が自分の身体に潰されたまま、というのはよくあることです。

どんな介助であっても、子どもの身体を、介助者が力ずくで動かすということは基本的にはありません。(もちろん、緊急時にはありますが・・・)

子どもの身体を動かす際、「よいしょ」と勢いをつけ過ぎると、たいていどこかにぶつけてしまいます。

勢いはつけずに、ゆっくりと、自分(介助者)の身体に引き寄せて、が介助の原則です。

 

 

2)車椅子・座位保持椅子の角度

 

これで、姿勢が整いました。次にみるのは、車椅子の角度です。

車椅子や座位保持椅子に角度をつけて食べる子がいます。

なぜ角度をつけていると思いますか?

「自分で食物を喉の奥へ運ぶことができない」ので、重力を使って食物を喉(のど)の奥へ送っているのです。

いくつか理由はありますが、この理由で角度をつけている子が多いです。

意外と原始的ですよね。しかし、これが安全性に食べられる子もいます。


だとしたら・・・

食べるのがうまくない子は全員、角度をつけちゃえばいいんじゃないの?と考える人もいるかと思います。

しかし、それは必要がない子もいるのです。舌を前後に動かせる子です。

「舌を口からぺろぺろ出し入れできる子」ではなく「舌を使って食物を喉の奥まで送ることができる子」のことです。

自力で送り込むことができるので、重力は必要ありませんよね。

 

 

3)食形態を決めるポイント

 

食形態とは、食材の状態を指します。ペーストだったり、一口大にカットしてあったり。食材をどのような形で、どのような硬さにして提供するか?ということです。

ポイントは・・・

・細かく刻み過ぎると逆効果!

・野菜は軟らかく煮て大きめで提供する

・「軟らかい」が大切。ベタベタ具合も気にする。

 

基本的には学校給食の食形態を基準に提供します。

学校給食は、子どもの「食べる機能」にあったものが用意されます。

肢体不自由校は、それが細かに設定されています。

しかし、知的の特別支援学校では「普通食」「刻み食」だけ、もしくは「普通食」だけでそれ以外の子は介助者がその場で加工して食べさせていることがあります。

学校給食があっていないと感じたら、加工する目安は下記の通りです。

私たちは、食べるときには、舌を使って食物を移動させています。

舌の動きをどこまで獲得しているか?

難易度としては、

・前後に動かす

・上下に動かす

・左右に動かす

の順で難しくなっていきます。

一方向だけではなく、前後+上下、前後+上下+左右、のように動かせる方向が増えるイメージです。最終的には、口の中で舌で円を描きながら食物を処理できるのです。


前後に動かせていれば、食物を喉の奥へ持っていけます。しかし、噛んだり潰したりするのは難しい。

⇒ 初期食 / ペースト食(ヨーグルト状)

上下に動かしていれば、口の中の天井(口蓋)と舌を使って食物を押しつぶすことができます。

⇒ 中期食(絹ごし豆腐くらいの硬さ)

左右に動かしていれば、歯茎や奥歯の上に食物を乗せることができます。

⇒ 後期食(バナナくらいの硬さ)

 

というのが目安となります。ただし、子どもによっては、丸飲みの癖がついていたり、噛んではいるけれど力が弱いケースもあるので注意が必要です。

 

  

◆喉に詰まりやすいもの

・菓子類(マシュマロ、ゼリー、団子、白玉など)

・野菜・果実類(りんご、ぶどうなど)

・パン類(ホットドッグ、菓子パンなど)

・ご飯(白米、混ぜご飯)

・肉類(焼肉、唐揚げなど)

・その他の食品(餅、寿司、チーズ、そうめんなど)

 

 

www.hana-mode.com

 

「食べられるものがないじゃない」

そう思いますよね?

そうなのです。なんでも詰まります。子どもは。

軟らかいから「大丈夫じゃない?」という考え方は危険なのです。

 

 

 

ポイント まとめ


1)姿勢のチェックポイント

⇒ 顎(あご)が上がっていないか?

⇒ 腰はしっかり入っているか?

⇒ リラックスできているか?



2)車椅子・座位保持椅子の角度

⇒ 倒れすぎていないか?角度がつきすぎていないか?


3)食形態を決めるポイント

⇒ 硬さ、大きさ、ベタベタ具合(粘調度)

  特に硬さに注目する

 ・ 細かく刻み過ぎると逆効果!
 ・ 野菜は軟らかく煮て大きめで提供する
 ・「軟らかい」が大切。ベタベタ具合も気にする。

 

 


≪次回へ続く≫

 

 

あわせて読みたい 

 久しぶりの食事介助シリーズ

 ① 姿勢・食形態  ←いま見ている記事です!

 ② 食事介助(前編) 

 ③ 食事介助(後編)