発達障害の診断を受けに行く理由
発達障害を耳にする機会は増えてきました。テレビ番組で発達障害のチェックリストなんていうものを流していることもありました。チェックリストは当てはまる。ではその先はどうすればいいのでしょうか?
障害の認定を受けるためにはどこに行けばよいのか?受ける意味はあるのか?というはなしです。
発達障害の診断って何?
診断とは
病院で障害や疾患の認定を受けることです。発達障害も同じです。しかし、他の疾患とは異なり血液検査などの数値では判断できません。行動などを観察して総合的に判断していきます。
診断は医師だけができるものです。それ以外の人から診断名を言われたときは注意してください。
発達障害の認知度は上がったけれど
ここ数年、NHKや国が発達障害をクローズアップしています。特番もたくさん放送されています。「発達障害」の名前は世間に広まりました。しかし、中身はうろ覚えで曖昧なまま発達障害を語る。そんな人もたくさんいます。一部では「発達障害は全員に知的の遅れがある」などの間違った偏見もあるようです。
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障害児と知的障害(児)って同じ意味なの?アスペルガーは?ごっちゃになっていない?
発達障害は治るものなのでしょうか?
・このプログラムを受ければ完治します
・このサプリメントを飲めば治ります
いまだに他人の不安を食いものにする人たちもいます。
発達障害は病気ではないので治るものではありません。
じゃあなぜ病院に行くの?
治らないのに病名を聞きに(診断を受けに)いくの?
治らないなら病院に行く意味ないよね?
そう思う人も多いと思います。診断を受けることのメリットとデメリットをまとめてみました。
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メリット
・これからの作戦が立てられる
⇒ 自分の中で起きていることを説明してもらえます。特性を踏まえて、これからどうすればよいのか教えてくれます。
今度、どういう方法を取れば生きやすくなるか?
自分自身でどうにもできないときには、どんな支援を受けられるのか?
・味方をつくることができる
⇒ 療育施設や病院、支援施設のスタッフはみんな味方です。関わり方はそれぞれ異なりますが、良い方へと導いてくれます。さらに、家族のフォローもしてもらえます。
・行動に理由があることが分かる
⇒ 好き嫌いが激しい子。実は感覚過敏があって触ったり口に入れたりすることが生理的に無理。そんなケースは少なくありません。
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デメリット
・障害、診断名がつきまとう
⇒ 気にする人は気にします。「自分に、自分の子に障害があるはずがない」というジレンマに悩まされるケースも。しかし、そんな状況で一番苦しいのは本人(当事者)です。
発達障害の特性が自分に当てはまるといっても絶望することはありません。一昔前ならともかく、いまは受け皿がいたるところにあります。
まとめ
障害と診断されると(すべてではありませんが)障害者手帳を申請できます。
手帳があれば割引きになる施設もあります。なかには手帳がないと受けられないサービスもあります。
しかし、それ以上に、障害名が分かるということは自分もしくは子どもを理解するための手がかりが得られるということなのです。
自分の失敗に「説明」がつくということは「安心」につながる
これはニキリンコさんをはじめとする当事者の方々が言っていることです。
障害者というラベリングをされないと助けてもらえない社会が問題なのではないかと。
不安の中にいる人たちが、どうかこの「安心」を得られる機会が奪われませんように
⇒手帳の種類に関して
「療育手帳(愛の手帳)」と「身体障害者手帳」の違いは? 手帳の基礎知識
参考文献
病名診断をめぐる問題とは何か――診断名を求め、語る声から考える
山口 真紀(立命館大学大学院先端総合学術研究科)http://www.arsvi.com/2000/0909ym.htm