文字がないオススメ絵本の紹介【言語聴覚士が解説】
「ことばが出ない子と、どう関わればいいか悩んでいませんか?」
・ことばがなかなか出ない
・絵本を読んでも反応が薄い
ことばの遅れはよく聞かれる悩みです。わたしも、ことばの専門職である言語聴覚士(ST)になってから、いろんな人たちからの相談を受けてきました。
ことばを喋るためには、繰り返し言わせる練習が正しいと思われがちですが、それは違います。実は、ことばの発達には「見る・感じる・イメージする」といった土台がとても重要です。
・ことばに含まれる意味を知ること
・ことばを思い出すこと
・相手に伝えたくなること
この3つがポイントです。簡単に言うと、ことばには、いろんな意味が込められていて、それを思い出して、自分の伝えたいことを「ことば」にして相手に伝える。
言語訓練でも様々な教材や教具をつかうことがありますが、家庭でも使えるのは、なんといっても絵本です。「ことばの絵本」も良いのですが、今回は“文字がない絵本”を紹介します。
この記事では、家庭や放課後等デイサービスで使える「文字がない絵本」と、その関わり方を言語聴覚士の視点で解説します。
※この記事では、実際にSTが現場で使いやすい本を厳選しています。
文字のない絵本って?
「文字のない絵本」とは、文字を使わず、イラストだけで物語を表現する絵本です。「サイレント・ブック」と呼ばれることがあり、日本以外にも、様々な国に素敵な本があります。
サイレントブックは種類によって難易度が大きく異なります。
はじめて使う場合は、シンプルな構成のものがおすすめです。
▶ 初めてのサイレントブックにおすすめの絵本はこちら
⇒ きこえる?きこえるよ (BOOK OF SENSE SERIES 4)
一番の魅力が、誰でも楽しめる本、ということです。ことばが遅れている子でも、その国の言葉がわからなくても、誰でも楽しめるのです。
なぜ文字がない絵本が良いのか?
サイレントブックは「読ませる」ものではなく、子どもと一緒に「見る」ことが大切です。文字がないからこそ、自由にイメージすることができ、大人とのやり取りも増えます。そういった「ことばにする経験」が増えることが、やり取りの土台になるのです。
つまり、受け身ではなく、絵本読みに参加できる、大人とのやり取りにつながる、ここが文字がない絵本の最大の特徴なのです。
実際の現場でも、ことばが出ない子どもほど、サイレントブックへの反応が豊かに見られることがあります。
オススメの絵本
文字のない絵本(サイレントブック)がたくさんあります。なかでもオススメできる本を紹介していきます。
サイレントブックにも種類があり、
・情報量が多いもの
・シンプルなもの
で使いやすさが大きく変わります。
きこえる?きこえるよ
「正解がない」ので、発語のハードルが低いのです。普通の絵本やワークブックでありがちな、「正しく読まなきゃ」がないので、 何を言ってもOKなのです。
・シンプルで分かりやすい場面のイラスト
・「どんな音が聞こえる?」と自然に会話が生まれる
▶ きこえる?きこえるよ (BOOK OF SENSE SERIES 4)
かくしたのだあれ
・探す楽しさがある本で、「どこ?」のやりとりが生まれます。左右のページを見比べながら、楽しく読み進めることが出来ます。
なんにかわるかな【新版】: もじのないえほん
シンプルな構成で、「どうなる?」と予測が生まれる本です。
定番のオススメ本
その他にも文字のない絵本がたくさんあります。
旅の絵本
▶ 旅の絵本
日本の定番中の定番絵本です。シリーズ化しています。
The Snowman(スノーマン)
世界中で愛されるロングセラーの絵本で、映像化もされています。
主人公の少年が作ったスノーマン(雪だるま)が真夜中に突然動きだし、少年と遊び始めるストーリー。
Flotsam(漂流物)
男の子が拾ったレトロな水中カメラには様々な海の様子が写っていました。海とカメラだけが知っている不思議な世界。ビジュアルの美しさとストーリー性で海外作品の中でも特に評価が高い作品です。
▶ 漂流物
👉 これらは通販でも定番として紹介されることが多い作品群です
どの本が良いの?
文字のない絵本は、ことばを使わない「非言語的コミュニケーション」が成立する、素敵な本です。
・指差しだけでもOK
・見るだけでもOK
ただ、使い方が重要なのです
※ 初めてサイレントブックを使う場合は、1ページの情報量が少ないものがおすすめです。実際の現場でも、情報が多い絵本よりも、シンプルな構成の方が子どもとのやり取りが生まれやすい印象があります。
文字がない本の使い方
メリットが多い、文字なし絵本。しかし、使い方が重要です。ただ読むだけだと効果は弱いのです。
✕ NG ✕
・無言で見せるだけ
・すぐ答えを言う
おすすめ本の比較
| タイトル | 特徴 | 対象者 |
|---|---|---|
| きこえる?きこえるよ | 音を想像する対話型 | 言葉がゆっくりな子/親子で会話したい人 |
| かくしたのだあれ | シンプルで直感的に楽しめる | 初めての絵本/指差し中心の子 |
| つみき | 想像力・構成力を刺激 | 創造遊びが好きな子 |
| 旅の絵本 | 観察型・発見型 | じっくり見る子/考えるのが好き |
| The Snowman | ストーリー重視 | 物語が好きな子/情緒を育てたい |
| Flotsam | 写真×ファンタジー | 考察好き/想像力豊かな子 |
★迷ったら「きこえる?きこえるよ 」から始めるのがおすすめです。
関わり方のポイント
繰り返しになりますが、絵本を使って、楽しく遊びながら、ことばを育てるときには絵本を使いたいです。では、絵本をどのように使えばよいのでしょうか?
基本的に、文字がない絵本は「読み聞かせ」ではなく、子どもの反応を引き出す「やりとり」が中心になります。
① 子どもの表出を待つ
② 子どもの反応をことばにする
③ やり取りを広げる
ことがポイントとなります。それぞれ説明します。
① 子どもの表出を待つ
とにかく待ちましょう。すぐに教えず、「見る・感じる時間」を大切にするのです。
・指さし
・視線
・表情
・ちょっとした動き
こうした動きやサインを見逃さないようにして、反応が出るまで待つことが大切です。
② 子どもの反応をことばにする
子どもは、本の中のものに気がついたとしても、言葉に出来ないことがあるかもしれません。そのときには、子どもが見ている・感じていることを代弁することも大切です。
「あ、犬だね」
「走ってるね」
「正しく教える」ことよりも「子どもの気づきに寄り添う言語化」を意識することがポイントです。
③ やりとりを広げる
大人は「子どもに喋らせよう」として、質問ばかりしがちです。文字のない絵本を読むときには、 一問一答にしないようにします。
❌「これなに?」
⭕「どうなるかな?」「どこ行くかな?」
やりとりの中で、「イメージやことばを広げていく関わり」が大切です。
④ 間を大事にする
どんな本でも「間」が大切です。子どもと一緒に絵本を読むときには、すぐに答えを言わないようにしましょう。
子どもが考える時間を確保することで、自分でイメージし、表現する力が育ちます。
まとめとして
今回は、文字がない絵本の紹介をしました。
ことばは「見る・感じる・イメージする」の積み重ねで育ちます。文字がない絵本はこの土台作りに最適です。ことばは、いきなり増えるものではありません。
どの本が良いか迷ったら『きこえる?きこえるよ』を試してみてください。
▶ きこえる?きこえるよ (BOOK OF SENSE SERIES 4)
ことばは「関わり」で変わります。
▶「絵本は分かったけど、実際の関わり方が知りたい」そんな方はこちらもおすすめです。
⇒ 言語聴覚士なのに保育士にかなわない
▶ことばの土台を知る
⇒音韻認識の記事
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