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考える力(思考)の発達とは①「内言語の発達」

内言語とは?

 
内言語とは、頭の中で物事を考えるときにつかう「ことば」のことです。一般的には、音声を伴わない「ことば」をさします。理解しているけれど、音声として表出していない「ことば」が「内言語」といわれています。

ことばをことばの発達を語るうえで「思考」の発達も大きく関わってきます。しかし、ことばの発達段階も、本によってバラバラです。今回は、インリアル・アプローチでお馴染みの坂口しおり先生の著書『絵で見ることばと思考の発達』を使って、「ことば」と「思考」をつなぐ「内言語」について考えていきます。
 
ことばを使って考える?

ポイント
・ことばを使って考えること=内言語(ないげんご)
・抽象的な事柄も「ことば」として一つにまとめることができる
・頭の中で自分に語りかけることができる
・結果的に物事を楽に考えられるようになる
 
必要なもの
・言語獲得
 ⇒ 喋れなくても理解はしているケースがあります 
 
 
私たちは、普段から無意識でことばを使ってものを考えています。

考えているときには口には出しませんが、頭の中ではことばが行きかっています。

今日はコンビニに寄って、新商品のパンを買って行こう。職場に着いたら機能の書類をまとめないと。あれ?先輩から頼まれた仕事がまだ終わってなかったな。どうしよう。どっちを先にやろう・・・あの人怖いしな・・・でもな・・・

この内容をことばを使わずに考えるのは難しいです。

映像で考えることもできます。しかし、時間がかかるし、細かい箇所まで映像として表せないことも出てくるでしょう。

ですので、ことばを使うと考えることがスムーズにいくのです。

考えること(思考)には、必ず「ことば」がまとわりついてきます。
 
 
 
内言語は生まれつき持っているのものではない
 
ことばを話せていたとしても、内言語を獲得したばかりのころはまだ上手く使うことはできません。

よく小さい子が「この車を持って・・・お母さんに見せよう・・・」とひとりで喋りながら行動していることがあります。

これは、まだ、頭の中だけで「ことば」を使って考えることがうまくいかず、口から洩れてしまっている状態なのです(音声になってはいますが)。これ自体、発達の流れの一つなので悪いことではありません。
 
内言語を獲得する流れを見る前に、ことばの役割について確認しましょう。 
 
 
 
ことばを学ぶ上で必要なもの
 
ことばには様々な役割があります。どんな時に使うものなのでしょうか?

コミュニケーションの道具
→ことばを使ってやり取りしながら交流していきます。また、自分の気持ちや状態を相手に伝えるときにも使うことができます。

楽しむための道具
→私たちは、歌を歌ったり、本を読んだりして楽しむことができます。その際、ことばは必要となります。詩も同様です。

考えるための道具
→前途したように、ことばをつかって物事を考えるということです。ことばは様々な状況をひとまとめにできる性質を持ちます。リンゴは「赤くて」「甘くて」「硬くて」・・・というのをまとめて「リンゴ」というひとつの単語で表すことができます。それによって、考えるスピードが速くなります。

 
それでは内言語を獲得するまでの流れです。
 
 
 
内言語の発達流れ
生後~小学校低学年
(内言語が獲得されるまでの時期)
 
生活をしていく中で繰り返されることが記憶に残り、知識となります。自分の中で、その知識を整理したものを、それをこの本では「生活の知識マップ」と呼んでいます。
このマップを自分の中に持つようになるのがこの時期です。このマップを作り上げる過程で、本人なりに「ことば」で考えるようになります。そのことばが「内言語」となっていくのです。
 
 
小学校中学年~大学卒業位まで
(内言語が高次化される時期)

成長の過程で出会う困難に対して「どうすれば、私の理想とする結果になるのか?」という方法を模索していくことで、思考は高まり、内言語は「高次化」していきます。「知識マップ」も、今まで出会ったことのないようなものに対処できるような柔軟性のあるものへと作り替えていくことが必要となります。
 
 
内言語の発達段階
内言語は、大人になってからも活用していきます。そのため、一生をかけて発達していきます。
 
・前会話期 前半
(生後~)
→経験を通して、その中で規則性を見つけて、本人なりの「出来事イメージ」を作り上げていく。そのイメージにことばを付けて「出来事知識」としていく
 
・前会話期 後半
(1歳6ヶ月~2歳6ヶ月)
→今まで獲得してきた「出来事知識」を自分の身体を通して再現して、確かな知識としていく
 
・会話入門期 前半
(2歳6ヶ月~7歳)
→急激にことばが増え、理解し始め、ことばで考えて説明するようになる時期。小集団の中でも、ことばを通じたやり取りができるようになる。
 
・会話入門期 後半
(7歳~12歳)
→繰り返された生活の中の知識マップが構成されて、内言語を使ってものを考えるようになる時期。何かを達成するために知識マップを使うようにもなる。抽象的な思考も行うようになってくる。
 
・会話期 前半
(12歳~22歳) 
→増えてきた知識を活用して、客観的な思考が可能となる時期。「自分の理解」のために、知識を使うようになる。
 
・会話期 後半
(22歳~) 
→さらに知識を獲得して思考を高めていく。また、自分と周囲の捉え直しを行う時期
 
 
※ジアース教育新社/坂口しおり著 『コミュニケーション発達支援シリーズ 絵で見ることばと思考の発達』P.9~10より ​

 

  
上記のように、「内言語」は、障害をかけて育って行くものなのです。
 
 
 
内言語を育てるという視点
ことばは、理解をしてから表出されます。必ず「理解」が先行します。

しかし、1つのことを理解したら1つ音声となる、というものではありません。ある程度、自分の中に理解しているものが溜めていく必要があります。

そして、理解しているものを「相手に伝えたい!」という思いがあって、はじめて、音声という「ことば」として表出されます。 「伝えたい!」という思いが湧いてくるような支援が必要となってくるのです。
  
 
 
 
次回は「考える力(思考)の発達とは②」です。
0歳からの発達の流れをみていきます。
 
 
 
 
 
投稿:2019年7月17日
更新:2020年5月10日
更新:2020年8月9日