言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

放課後等デイサービスに転職したい!スカウトされた?安心するな!

求人サイトで放課後等デイサービスへ転職するときのポイント

いままで放課後等デイサービスで働いていた人が、別の放課後等デイサービスに転職するケースがあります。

「同業種だから大丈夫」

転職活動のときにそんなことを考えていませんか?

 

障害を持つ子が通う施設である「放課後等デイサービス」。

全国に1万6千以上もあります。

なかには似たような事業所(施設)はあるはずです。

しかし、転職活動でそれを見つけるのは困難です。

 

次の職場の探し方もいろんな方法があります。

求人サイトを使う方も多くいると思います。

 

今回は、求人サイトで転職するときの注意点をお話しします。

 

 

 

放課後等デイサービスとは?

放課後等デイサービス(放デイ)とは障害児が放課後に通う施設です。

スタッフや友達と一緒に遊んだり、のんびり過ごしたり、勉強したり、第三の場所と活用されています。

年々需要が高まり、数も増えています。

全国に放課後等デイサービスの事業所は 16,718 箇所(2021年5月)あります。

10年前(2011年)と比べると10倍に増えています(厚生労働省調べ)。

 

 

放デイへの転職で気をつけたいこと

一度は放課後等デイサービスで働いたけれど、会わなかったから別の施設に移りたい・・・。

そんな人もいるのではないでしょうか?

辛い思いをして働き続けてもしょうがない。

それでは転職をしましょう。

 

どのサイトから職場を探すか?

最近はいろんなタイプの転職サイトがあります。

・自分のプロフィールや希望を入力すれば「オススメの施設」を紹介してくれる

・採用が決まったら「祝い金」がもらえる

・その職種のみの求人が集まったサイト

などなど。

どれを使うかは求職者の好みでOKです。

 

「スカウト」サイトに注意しよう

しかし、注意したいタイプのサイトがあります。

それが「スカウト」タイプの求人サイトです。

 


スカウトとは

求人サイト側から「あなた、わたしたちの施設で働きませんか?」という連絡が来るという従来のものとは異なった求人サイトのことです。

手順としては・・・

求職者があらかじめプロフィールや希望を入力します。

仲介業者が希望に見合ったサイトをオススメしてくれます。

求職者が気に入れば面接に進みます。

 

「スカウト」の求人がすべて悪いとは思いません。

しかし、お互いのすれ違いが起こりやすいタイプだといえます。

 

 

「スカウト」のすれ違い・勘違い

放課後等デイサービスの「スカウト」求人。

なぜ、すれ違い・勘違いが起こるのでしょうか?

 

スカウトする側は求職者の働きっぷりなんて見たことがありません。

施設の内情だって知りません。

それを

○年務めたから一通りの業務や支援はできるはず

と憶測だけで当てはまる求職者をスカウトする。

それを真に受けた求職者や施設側が後で困ってしまうのです。

 

もう少し細かくみていきましょう。

すれ違い・勘違いの原因は大きく分けて3つあります。

 

 

役割の違い

これまでどんな業務や役割をになってきたのか?

次の職場ではどのような役割が求められるのか?

これは施設側に確認を取った方がよいです。

「○○はできますか?」

と聞かれて、良いところを見せようとして「はい!」と答えるのはナンセンスです。

あとあと自分も職場も大変になります。

・指導員なのか?

・児童指導員なのか?

・児童発達管理責任者なのか?

・リハビリスタッフなのか?

役割(職種)によって求められるものが異なるはずです。

 

所属する子どもの違い

対象はどんな障害を持った子なのか?

ここは重要なポイントとなります。

これまで発達障害やダウン症などの”動ける子”中心の施設で働いていたとします。

次の施設が肢体不自由児や重症心身障害児といった”動けない子”中心だったら。

支援や活動などがまったく違います。

「車いすの子と関わったことがありますか?」

と聞かれてウソをついて「はい!」と答えてはいけません。

 

支援の違い

支援というのは真面目にやるほど人手や労力も必要となります。

人手や労力をかけたがらない施設というのが存在します。

 

ex.
・1人か2人のスタッフで10人近くの子どもをみている。外出や設定遊びはほとんどなく、毎日DVDや動画を見せているだけ。

 

子どもに対してどのような支援を行っているか?

これは施設によって異なります。

転職先がどのような支援を行う施設か?は確認を取っておくとよいです。

 

プチ情報

粗悪な施設は減ってきている?

このように子どもの発達段階や課題に関係なく「預かるだけ」という施設は少なくありません。

国もそのような放課後等デイサービスを問題視しており、様々な手で排除しようとしています。

・子どもに対する大人の割合

・専門職の有無

などをしっかりと守っている事業所には加算(お金をくれること)をくれるようになってきました。

他にも様々な加算があります。

加算が取れないと運営ができなくなります。

そのため、体制を整えずに活動もいいかげんなところが減ってきているのが現状です。

真面目にやっていても人員が足りないところも運営が危うくなるというれいもありますが・・・。 

 

 

「求職者」「求人サイト」「施設」のすれ違い

そもそも、なぜすれ違いや勘違いが起こるのでしょうか?

それは放課後等デイサービスに全国統一のルールがないからです。

同じ放課後等デイサービスでも施設によって内容が異なるのはこのためです。

 

そのため、求人サイトに登録するとき

・放デイで5年の勤務経験あり

・運転免許所持

と自分で書いたとします。

 

しかし、実際は

・放デイで5年の勤務経験あり

 ⇒ しっかりと活動していた施設で働いていた?

・運転免許所持

 ⇒ 業務として送迎を行っていた?

 ⇒ ハイエース等の大き目の車も運転していた?

働き方で経験がまったく異なるのです!

 

求人サイトは細かい業務なんて分かっていない!

求人サイトはあなたが過去にどんな職場でどのように働いていたかなんて細かなことは分かりません。

見ているのは数字や免許の有無ばかり。

 

なので、採用が決まって、いざ勤務開始!となっても・・・

「こんなはずじゃなかった」

とお互いに頭を抱えることになってしまうのです。

 

―――

 

一応、国は「放課後等デイサービスガイドライン」というルールを提示しています。

しかしこれは「支援の質のはなし」です。


※放課後等デイサービスガイドライン

全国にある放課後等デイサービスは支援の質に差がありました。

・活動は何もせずにDVDを流しているだけの施設

・毎日子供に合った活動を提供している施設

・地域との交流を丁寧に行っている施設

どんな支援をしていても国からもらえるお金は同じでした。

そんな支援の質を一定にしたい国はある程度のルールを設定しました。

それが「放課後等デイサービスガイドライン」なのです。

 

 

じゃあどうすればいいの?

「スカウト」されたからって真に受けるな、ということが分かりました。

じゃあどうすればいいの?

誰を信じればいいのでしょうか?

 

それは自分の目と耳です。

まずは求人サイトでも本でも自分の条件に合う施設に目星をつけます。

そこを実際に見に行ったり、話しを聞いたりする。

自分の経歴は偽らずに施設に確認を取ることが大切です。

もちろん、求人の段階で施設側が嘘をついていたら・・・そんな施設はすぐに辞めてしまいましょう。

 

 

「スカウト」が来れば嬉しいけれど・・・

たしかに「スカウト」が来れば嬉しいです。

しかし、関係のない第三者のスカウトを100%信じるのは危険です。

実際に働くのはあなたなのですから。

 

 

まとめとして

今回は、放課後等デイサービスに転職をするとき「スカウト」型の求人には気をつけようというはなしをしました。

「スカウト」型の求人が悪いわけではありません。

それを使って幸せな転職を経験された方もたくさんいます。

しかし、勘違いしやすいので注意が必要だというはなしです。

よかったら参考にしてみてくださいね。

 

 

<参考文献>

◆厚生労働省『障害児通所支援の在り方に関する検討会報告書(令和3年10月20日)』より
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000845350.pdf