言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

放課後等デイサービスの活動で「公園遊び」「散歩」が好まれる理由とは?

放課後等デイサービスってどんな活動をしているの?

放課後等デイサービスってどんな活動をしているのでしょうか?

活動内容は普通の保育園や幼稚園、学童と似ています。

なかでも頻度が高いのが

・公園に遊びに行く
・散歩に行く

ただ行くのではなくて、ちゃんと目的をもって遊びに行っています。

障害を持っている子は、子どもによって特性が大きく異なります。そのため、さらに丁寧に対応を行っているのです。

今回は、なぜ放課後等デイサービスの活動として公園に行くことが多いのか?を説明します。

 

 

 

頻度の多い活動(例)

放課後等デイサービスには様々なタイプがあります。ひとつの活動に絞った特化型や様々な活動を行う総合支援型があります。

昔ながらのいわゆる「放課後等デイサービス」では、外に出かけたり、室内で過ごしたり、活動のバリエーションが多くあります。

例えば次のような取り組みがあります。


屋外

・公園遊び
・博物館系
・プール、水遊び

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屋内

・玩具遊び
・歌、楽器遊び
・感覚遊び
・ダンス活動
・調理活動

 +

PT、OT、ST、MTによる個別もしくは集団活動

PT・・・理学療法士
OT・・・作業療法士
ST・・・言語聴覚士
MT・・・音楽療法士

 

◆専門職に関する記事はこちらをどうぞ


◆放課後等デイサービスの一日の流れはこちらをご覧ください

www.hana-mode.com


 

公園遊び・散歩が多い理由

放課後等デイサービスでは公園に行く率が高いです。コロナ禍にはいってからは高確率で公園遊びや散歩です。

ではなぜ公園にばかり行くのでしょうか?

支援者が何も考えずに公園に行っているわけではありません。ちゃんと理由や目的があって行っているのです。

 

どんなタイプの障害でも楽しめる

考え方次第でどんな子にも楽しめる要素があるのが公園遊びや散歩です。

最近、都市部では整備された公園が増えてきました。

逆に田舎だと公園の数が少なくなっています。しかし、その分、空き地はたくさんあります。

公園や散歩の割合が高い理由

お金がかからない
サッと行ける
どんな障害の子でも行きやすい

ということです。

公園によっても滞在時間が変わるはずです。子どもに合わせて選ぶこともできます。

 

お金がかからない

多少遠い公園でも歩いて行ってしまうことが多いです。

地域の公園ではお金がかかることはありません。駐車場代は別ですが・・・。

 

サッと行ける

時間も調整しやすく支援者にとっても行きやすいのです。

・ちょっとした空き時間に行ける
・他の子が崩れたときの逃げ場として

普段行き慣れた公園であれば、行き帰りの所要時間も考えやすいです。

子どもがその公園でどんな遊び方をするかという予測も立てやすいです。

さらに、子ども自身が「いつもの公園」という安心感がもてるのです。

 

どんな障害の子でも行きやすい

放課後等デイサービスにはいろんな障害を持つ子どもたちが通ってきます。

発達障害、ダウン症、肢体不自由児、その他の障害・・・

どんな子どもでもその子に合った遊び方を提供できます。

ボランティアさんと一緒に活動するときも割合遊びやすいのではないでしょうか?

もちろん、安全には十分に配慮する必要はありますが。

 

注意点!

たとえば、高校生の自閉症の子の場合。

障害が重い子の場合、感覚遊びが中心になっているのであれば砂や水で遊ぶこともできます。

しかし、ある程度、知的の能力が高い(保たれている)子もいます。

そういった子であれば、公園に行ってもすることがないですし楽しくありません。園内をフラフラして終わってしまいます。

だからといって「外出しない」という選択肢を増やしたくないです。

運動量が少なく肥満傾向の子も結構いるからです。動かしてあげたい。

そういう場合には

探索遊びを取り入れる
会話しながら散歩する
その子の興味のあるものを見に行く

子どもの興味にあわせて散歩行く支援などが考えられます。

 

 

肢体不自由児と公園

肢体不自由の子の場合はどうでしょうか?

「車椅子に乗っている子が公園で遊べるの?」

そう思われるかもしれません。

 

最近はユニバーサルデザインの遊具も増えてきました。

畳1畳分くらいの大きさのシーソーや揺れる遊具もあります。

こういったものであれば支援者と一緒に乗ることができます。

 

重症心身障害児など障害や疾患が重い子の場合、車移動だけでも疲れて体調を崩すケースもあります。

しかし、ちょっとした散歩などのお出かけを繰り返すことで元気になっていく(強くなっていく)子が多いのです。

これは私も実感していますし、いろんな施設の方に聞いても同じようなことを言います。

※注意点

障害や疾患によっては外出に注意が必要なケースがあります。あらかじめ保護者に確認をとっておくとよいです。

 

ex.気管切開

何らかの呼吸器系の疾患があるために呼吸がうまくできない子がいます。

人工呼吸の子もいれば気管切開(喉に穴をあけて空気の通り道を作る)をしている子もいます。

そういう子の場合、事前にどのくらい外に出てよいのか確認をとっておく必要があります。

 

通常、わたしたちは空気を吸うと酸素が喉を通るときに加湿されてから肺へと流れていきます。

喉の短い距離を通る間に湿度100%、37度に加湿されるのです!

しかし、気管切開でカニューレ(喉に穴をふさいでいるチューブ)がついている子は加湿機能が働かないのです。

そのため、乾燥した空気がそのまま肺へと入っていきます。

 

たとえば寒いときに手が荒れますよね?そんな感じで肺の中がカピカピになってしまうのです。だからそういう子は人工的に加湿(吸入など)が必要となってきます。

なんとなく「大丈夫だよ」という判断は危険です。

重心指定を受けている放課後等デイサービスには看護師もいます。

看護師に相談すると安心です。

 

継続的な活動が周りの人たちを動かす

以前、私が勤めていた職場では近所に公園がありました。

遊具はあるのですが草は伸び放題。誰が手入れしているのか?という状態でした。

雰囲気はあまりよくないし、お世辞にもきれいとは言えない公園です。

しかし、施設の近くにある場所なので毎日のように行っていました。

しばらくすると、役所の人が草を刈ったり遊具の整備をしてくれるようになりました。

これまで何年も手付かずだったのに。

公園がきれいになると近所の子どもたちも遊びに来るようになりました。

 

自分たちで公園をきれいにする手もありましたが、この時は周囲(役所の人たち)に助けられました。

意識していようがいまいが、継続的な活動が周りの人たちを動かすこともあるのです。

 

 

まとめとして

今回は、放課後等デイサービスで公園遊びや散歩といった活動が好まれる理由を説明しました。

何も考えないで支援を行うと何も変わりませんし危険度も上がります。考えながら支援を行うことで少しずつですが子どもも成長していくはずです。

よかったら試してみてくださいね。