二項関係と三項関係は何が違う?
発達を学んでいると、出てくる「二項関係」と「三項関係」。名前が似ていて分かりにくいですが、それぞれどのようなもので、何が違うのでしょうか?
二項関係?三項関係?
この2つは、コミュニケーションの形をさします。
その際、情報が、誰から誰に送られているものなのか?というものです。
二項関係
・子どもと大人、子どもと物など、1対1のみのやりとり。
・どちらかが何らかのメッセージを送って、相手がそれを受け止めて理解する。
三項関係
・こどもと対象と大人
・何らかの対象に大人の注意を向けて、それに気づいてもらう。
そして、子ども自身の目的の情報を伝える。
ex.実物
①子どもが帽子を大人に見せる。
大人は「この子は散歩に行きたいんだな」と気づく。
②大人がコップを持ってくる。
子どもは「お茶が飲める」と気づく。
※ この対象は、見えないものでもよい。
ex.ことば
①大人が「ワンワン、いる」言う。
子どもは犬がいることに気づく。
②子どもが「チョウダイ」の身振りをする。
大人が玩具をあげる。
③子どもが「指をさす」。
大人が指の先にあるものに気づく。
いつ獲得できるの?
定型発達(障害がない子)であれば
・二項関係が3ヶ月頃
・三項関係が9ヶ月頃
に獲得されます。
7ヶ月頃から二項関係から三項関係への移行がみられるようになってきます。
獲得できればいいことがあるの?
子どもは、自分と周囲の物の区別が曖昧でした。発達が進むと、自分と物(人)という方向性ができてきます。それが、
・相手からの働きかけには意味があるということに気づく
・大人が「自分の要求を叶えてくれる」存在だということに気づく
ようになります。
・三項関係の獲得は、「身振り・サイン」「ことば」の獲得にもつながります。
まとめとして
二項関係は、一対一の交流です。
ものや他者そのものに気付いて、それに意味があることを知ります。
コミュニケーションの土台となる大切な力です。
三項関係は、ものを間に挟んだ、相手との交流です。
「ものの三項関係」と呼ぶことも多いです。
一つのものを通して、意図や情報を相手と交換します。
目には見えない「ことば」も同じです。
ことばを介して、意図や情報を相手と共有することができます。
逆に言えば、この力を獲得していないと、ことばもサインも使うことができません。
カードもです。
参考資料
三項関係 - 脳科学辞典
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E4%B8%89%E9%A0%85%E9%96%A2%E4%BF%82
共同注意場面における養育者のかかわり
―言語発達の足場づくりに注目して―森下 葉子
https://www.u-bunkyo.ac.jp/center/library/hum2017_041-046.pdf
言葉を獲得していない時期の子どもの見方
http://fields.canpan.info/report/download?id=18830
尚絅大学研究紀要 人文・社会科学編 第50号:(83~93)(2018)
他者理解の発達における「theory of mind」形成の意味―社会環境学的検討―小沢日美子
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seia/50/0/50_83/_pdf/-char/ja