言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

なぜ丸飲みをしてしまうのか?

丸飲みの原因・対応

 

 

 

なぜ丸飲みをしてしまうのか?

障害を持った子に多くみられる「丸飲み」。口の中で起きていることなので、直接見ることも出来ず、なかなか支援がしづらいです。現在は、対応もいろいろ考えられています。しかし、何も考えずにアプローチをしても効果は出にくいです。ここでは、原因から考えていきます。原因から支援を考える。大切なことです。

 

 丸飲みの原因

 今までの食べ方

まだ口の容量が小さいのに「大きなスプーンでたくさん口の中に食べ物をいれられた」という介助を受けている子は、丸飲みになりやすいです。口の中がいっぱいになってしまうと、舌も動かしづらくなり、噛むのではなく飲み込んでしまいます。障害がない子でも同じです。「食べるのが早い子」と褒められて、丸飲みを見過ごされることが多いです。 もう一つが、食べるときに「口の奥までスプーンを入れて食べさせる」介助を受けた時です。私たちの舌は、根元(喉の奥)よりも舌の先の方がよく動きます。舌の先の方に食物があれば、左右に動いて食物を奥歯の上に乗せることができます。奥歯の上に食物が来てはじめて、噛むことができるのです。

  

周囲を見ていない子

食事の間、ずっと食べ物だけをみている子がいます。食事の場面では、隣にいる子が音を立てながらキュウリを噛んでいるのを面白がってマネる。周りの子がやっているのをマネながら、正しい食べ方を身につけていきます。周囲を全く見ていないと、他の子がやっていることにも意識が向きません。

  

噛めない食形態のもの

海苔や葉物野菜のような、薄いものは噛みづらいうえに、口の天井にへばりつきやすいです。そのため、丸飲みしたり嫌がったりすることがあります。また、ハムやカマボコのような、軟らかいけれど弾力があるものは、噛みづらいことがあります。細かく刻んだとしても口の中でまとまらず、バラバラになって食べづらくなります。自分の能力以上のものを食べる時は丸飲みになりやすいです。

  

食具を使うよう急かされた

手の使い方がまだ上手ではないのに、スプーンなどの食具で食べるよう指導された子がいます。その場合、かき込むように食べるようになり、丸飲みにつながります。学年が上がると「箸で食べます」という目標を立てたくなりますが、無理をして自分の能力以上のものを使っていると、食べる機能も十分に育たなくなるので注意が必要です。スプーンやコップなどを上手に使うためには、実際に使って練習するのではなく、食事以外で手を使って、たくさん遊ぶことが大切です。

 

どのような対応ができるか?

 声かけ

自分の身体や動きに気が付きづらい子の中には「噛んでね」等、声をかけてもらうことで咀嚼し始める子もいます。しかし、全ての子がそうだというのではありません。声かけだけでは噛まないときには、その他の方法を試してみてください。

 

②鼻呼吸を促す

普段から口で呼吸をしている子は、食べ物を口の中で処理していても、だんだんと苦しくなって丸飲みになることがあります。遊びの中で口や鼻を使ったものを取り入れることで、鼻呼吸が出来るように促していきます(風船、シャボン玉、湯船に顔を沈めて息を吐くなど)。

 

お茶で流し込まない

丸飲み・早食いの子は、口の中にたまったものを水分で一気に流し込むやり方が身についているケースがあります。「流し込みたい」ために、食事中に水分をやたらと欲しがる子がいるのは確かです。中には、薬などの副作用で「喉が渇く」子もいるので、一概には言えませんが。

 

食べ物に気づく

感覚刺激に気づきづらい子の中には、口に食べ物が入っても気づかないことがあります。また、自分の「奥歯があること」に気づいていないことがあります。そういう場合には、噛む経験を積んで意識化してもらうことがあります。例えば、カッパエビセンやスルメイカを歯列に沿って置き、噛むよう促します。その際、子どもに食べるよう指示を出すだけでは危険です。丸飲みしたら喉に詰まります。介助者はエビセンやイカを持った手を放さないようにして、咀嚼(そしゃく)を促します。ガーゼに果肉やグミなどを包んで噛んでもらう方法もありますが、見よう見まねでやると、ガーゼごと飲み込んでしまったときに危険です。

 

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