支援職やリハビリ職が保護者やご家族へ話しをするときのポイント
支援やリハビリが始まる前には、保護者やご家族に向けて、担当のスタッフや児童発達支援管理責任者から必ず説明があります。
説明するスタッフにも いろんな人がいます。話し方や伝え方も様々。誠意をもって相手に話しをしてくれればよいのですが、なかには質問されて困ることがあります。
「どうなって欲しいですか?」
「おうちの方としては、どうなって欲しいですか?」
・・・いやいや、そりゃ元通りになって欲しいに決まってるでしょ?
同じ年の子に追いついてほしいに決まってるじゃないですか?
と、内心モヤっとしたであろうご家族も、きっと少なくないはずです。
「どうなって欲しい?」は魔法のことば・・・ではありません。
今回は、医療職・支援職のことばの伝え方ポイント、というか注意するとよい点をお話しします。
医療職・支援職が ご家族と話す機会
医療職であれば
・病室で会ったとき
・訓練計画書の説明
・リハビリの経過観察
支援職であれば
・送り迎えの際
・個別支援計画等の説明
・相談を受けたとき
どちらも、意外と ご家族と話す機会は多いのです。
支援する側はどういうつもりだった?
もちろん、支援やリハビリの担当者としては、
「どんなことを大切に支援したいですか?」
「何に困っていますか?」
「まずは、どんなことを一緒に考えましょうか?」
・・・ということを、やさしく質問したつもりだったのでしょう。
しかし、「どうなって欲しいですか?」とストレートに聞かれると、相手によっては「投げやりに聞こえる」こともあります。
わたし自身、言われて分かったこと
これは、わたしが言語聴覚士(ST)として働いている中での実体験です。
自分の家族が入院し、これからリハビリが始まるという場面で、作業療法士(ОT)の先生からこう聞かれました。
「どうなって欲しいですか?」
—— 一瞬、言葉に詰まりました。
「いや、あなたに全部お願いしたいから来てるんですけど…」
「わたしが方向性を決めるんですか?」
そう思ってしまったのです。
同じ医療職として働く自分でさえ、そう感じたのだから、
普段リハビリの現場に慣れていない保護者なら、なおさら戸惑うはずです。
“伝え方”を見直そう!オススメの伝え方の順序
私たちは、支援やリハビリを「良かれと思って」提供しているつもりでも、
その伝え方ひとつで、相手に与える印象は大きく変わります。
だからこそ、少しだけ「ことばの流れ」を意識してみてください。
◆いまの状況や観察から見えることを伝える
◆専門家としての自分の考え(所見)を伝える
◆対象者(児)の意欲が出るために、どの部分を治す(育てていく)ことが良いのか提案する
現状から分かることを伝える
専門家だからこそ、「いま」の状況や観察から見えることを、分かりやすく伝えます。もちろん、支援職だって専門家です。
「最近、歩きたいという意欲が強いです」
「最近、おもちゃに手を伸ばす回数が増えています」
評価や支援の方向性を共有する
専門的な視点で、対象者(児)を捉え、今後、どのような支援を行っていくのかを、ご家族と情報共有していきます。
「この時期、興味を広げることがとても大事です」
どんな支援をしていきたいかを提案する
専門職が、これからどのように支援を進めていくのか、ご家族に何を協力して欲しいのかを伝えます。
「一緒に“伝えたい”気持ちを引き出す遊びを取り入れてみませんか?」
大切なのが、「一緒にやっていきましょう」という思いを伝えること。
「わたしたちも一緒に考えていきますので、どうぞよろしくお願いします」
やっぱり、上から目線では、誰も、わたしたちの言うことなんて聞いてくれません。
注意点
ご家族は、急に「どうしたいか?」と聞かれても、どう答えたらいいのか分かりません。どこまで望んでいいのか?も分かりません。
ご家族は「支援やリハビリのプロ」ではありません。
だからこそ、こちらから「できそうなこと」「取り組んでみたいこと」を提案しながら、いっしょに道筋を探していくスタンスが、結果的に安心感につながっていくのです。
まとめとして
今回は、保護者へ支援やリハビリについて伝えるときの注意点を説明しました。
「ことば」は支援の第一歩です。
私たち支援者にとって、一番最初の支援は「ことば」です。どんなに専門的な知識や技術を持っていても、
それが伝わらなければ、信頼は生まれません。
相手の気持ちを想像する
わかりやすく伝える
一緒に進もうとする
その“ことばのあり方”が、リハビリや支援の土台をつくっていきます。
信頼を得るきっかけとなるもの「ことば」
信頼をなくすのも「ことば」
わたしは説明が下手だから・・・
そんなふうに周囲に行ってばかりの人もいます。
そうではなくて、「ことば」を丁寧に扱ってみる。それで保護者や周りの人たちの あなたのへの感じ方は変わります。
ちょっと配慮してみる。
他者が変な目で見ることもない。
お金もかからない。
よかったら参考にしてみてくださいね。


