食形態って全国共通なの?学校給食ならどこも同じなのか?
特別支援学校に通う子のなかには食べることが苦手な子がいます。そういう子たちは嚥下食・形態食などとよばれている給食を食べているケースがあります。後期食や初期食といった食材の加工が工夫されているものです。
では、この食形態。日本全国の特別支援学校で同じなのでしょうか?
苦手にもいろいろな種類があります。今回は肢体不自由を中心に
・筋緊張のコントロールが難しい
・噛むことができない
といった機能的な問題がある子の給食を考えていきます。
食形態の種類
先ほどの「食形態は全国で統一されているか?」という質問ですが・・・答えはNOです。東京都内の支援校ですら基準はバラバラです。
基本となる食形態は4つあります。
普通食
⇒ 私たちと同じ食材、大きさ、硬さのもの
後期食
⇒ 歯茎で潰せる硬さ
ex.バナナ
中期食
⇒ 舌で潰せる硬さ
ex.絹ごし豆腐
初期食
⇒ ヨーグルト状
ex.ペーストのもの
特別支援学校では上記のような分類をしているところが多いです。それに加えて、初期食を2段階にしたり、普通食と後期食の前に「練習食」を設けたりするところもあります。
詳しくはこちらの記事もご覧下さい
◆子どもが食べづらいもの、窒息しやすいものとは?
◆給食の食形態ってなに?
割合はどのくらい?
基本的に4つの食形態があります。では、実際にはどの食形態の子が多いのでしょうか?東京の特別支援学校を例にみていきましょう。
東京には18の肢体不自由の学校があります。それらの合計が上記のグラフです。
食形態の分類名
食形態は、普通食に近い順から「後期食」「中期食」「初期食」という分け方をしているところがおおいです。しかし、呼び方は学校や地域によって様々です。
分類の基準も微妙に違う
呼び方が異なることが分かりました。では基準はどうでしょうか?
基本的にこれらの分類は
・硬さ
・大きさ
・まとまり具合
といった食材の性質によって決められています。
明確な基準がないために前学校で統一されていないのが現状です。
下記のような基準の違いがあります。
後期食
・1~1.5cm角程度の軟らかいもの
・奥歯で軽くつぶせるくらいの硬さ
・歯や歯茎を使ってつぶせる固さと大きさ
・歯ぐきで押しつぶせる程度のやわらかさ
中期食
・舌の動きを使って潰れるくらいの硬さ
・舌で押しつぶせる程度のもの
・形があり、舌でつぶせる程度の硬さで粘稠性のあるもの
初期食
・粒や繊維がなくそのまま飲み込める
・ペースト状
・口の中に貼りつかない粘度のもの
「硬さ」で決めるところが多いです。「大きさ」「ベタベタ具合(粘稠度)」などが基準となるところもあります。
まとめとして
学校はそれぞれ決められた種類の食形態しかありません。その種類に合わなければ支援者が手元調理(手元加工)をするしかありません。
普段からおさえておきたいことは、子どもの「食べる力」に合ったものを提供するということです。
・子どもはどんな食べ方をしている?
・どんなことが苦手なのか?
それを支援者が知ることが大切です。
参考資料
有効な分類方法はいくつかあります
◆嚥下調整食分類 2013
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
◆発達期摂食嚥下障害児(者)のための嚥下調整食分類 2018
日本摂食嚥下リハビリテーション学会
施設では取り入れているところはあります。しかし、学校では少ないです。
◆臨床栄養 vol.133 No1 2018.7 P.55
「表1 平成29年度東京都肢体不自由特別支援学校給食形態別状況表」
より合計者数を引用しました
◆食に関する指導の手引-第二次改訂版-(平成31年3月)文部科学省
https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2013-manual.pdf
◆発達期摂食嚥下障害児 - 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
https://www.jsdr.or.jp/news/news_20180109.html
◆特別支援学校における再調理の基本的な考え方
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/file.jsp?id=257325
◆児童福祉施設における食事の提供ガイド - 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/03/dl/s0331-10a-015.pdf