言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

みんなが逃げていく職場ってどんなところ?【放課後等デイサービス編】

みんなが辞めたくなる職場には理由がある

あなたは、今の職場で、心から「ここで働けてよかった」と思えていますか?

放課後等デイサービスは、年々増加しています。
「障害児支援」という、社会的に重要な役割を担うこの福祉の現場に、私たち言語聴覚士(ST)も関わることが増えてきました。

けれど――
「なぜ、スタッフが次々と辞めていくのか」
「どうして、誰も長く続けられないのか」
そこに向き合わなければ、専門職としての力も、子どもたちに届かなくなってしまいます。

ここでは、ホームページでは立派なことを言っているけれど、実際に働いている人たちはどんどん辞めていく。ヤバい施設なの?

わたしは長年、言語聴覚士(ST)として放課後等デイサービスで働いてきました。そこで、実際に経験したこと、見聞きしたことを交えて紹介します。

現在、放課後等デイサービスで働いている人にも、これから働きたいと思っている人にも、読んでもらえればと思います。

 

 

放課後等デイサービスの「上」の人ってどんな人?

上の人、という表現をしましたが、実際には下記のような人たちを指しています。

 

・施設長
・責任者
・児童発達管理責任者(児発管)
・運営スタッフ
・勤務年数がやたら長い人

※もちろん、上記の人たちが全員「嫌なヤツ」なわけはありません。誰もが「この人についていきます」という「上の人」もたくさんいます。

 

 

トップの至らなさが、現場を壊していく

施設のカラーは、トップによって決まる。これはよく言われることです。放課後等デイサービスも例外ではありません。

・言うことがコロコロ変わる
・各職種の専門性に対する理解がない
・スタッフへの気遣いや配慮が見えない

このような環境で、STができることには限界があります。
「言語訓練?そんなの遊びでいいから適当にやってよ」
「発語を増やすって言ってたけど、今日のテーマは体操だから」
そんなふうに扱われていては、専門職として働く意味がなくなってしまいます。

 

 

現場が混乱する「一貫性のない指示」

昨日は「それをするな」と怒られた。
だから今日は、それを避けて動いた。
すると今度は「なぜやらないのか」と怒られる。

そんな現場に、希望はありません。誰もが「自分の判断が正しいのか分からない」と迷い、萎縮していきます。新人だけでなく、経験者も疲弊し、黙って辞めていくのです。

 

 

放課後等デイサービスの立ち位置、理解していますか?

子どもにとっての「放課後等デイサービス」は、1番大切な場所だとは言い切れません。

・1番目に大切な「家」
・2番目の「学校」
・3番目の居場所「放課後等デイサービス」

子どもたちにとって「学校でも家庭でもない、第3の居場所」です。そして、そこには、子どもたちの育ちを支えるために、毎日一生懸命に働いているあなたのような職員さんたちがいます。

 

 

押しつけるトップたち

この立場を理解していない施設のトップが多いことも、問題です。

「何でもいいからやってくれ」
「保護者の要望はすべて飲め」
「とにかく満足度を上げろ」

その裏で、法的に必要な医師の指示書もなく、PTやOT、STに「リハビリをしてほしい」と丸投げされることも。

私たち言語聴覚士は、医療系国家資格者です。医師の指示なしに機能訓練を行うことは、グレーどころかブラックです。
にもかかわらず、見えないプレッシャーで「やらされている」リハビリ職たちがどれほど多いことか。

 

★リハビリ職の略語紹介★

理学療法士(PT)
作業療法士(OT)
言語聴覚士(ST)

 

 

スタッフは「人」です。コマではありません

「辞めたければ辞めろ」
「代わりはいくらでもいる」

そんな言葉を、平然と言う上司がいます。けれど、それを聞かされたスタッフは、もう「子どものために頑張ろう」とは思えません。

 

放課後等デイサービスは、子どもにとっての「安心できる居場所」であるべきです。それを支えるのがスタッフであり、STの存在です。

心がすり減っていくような職場で、専門性は発揮されません。いなくなったスタッフは「逃げた」のではなく、「見限った」のです。

 

 

言語聴覚士として、私たちができること

それでも、私たちにはできることがあります。どの職種にも「得意なこと」があって、それを持ち寄って、みんなで支援を考えることができます。

 

たとえば、言語聴覚士(ST)。

放課後等デイサービスの中で、STが子どもたちにできる支援は多岐にわたります。

・発語を促す個別支援
・食べる力を育む嚥下指導
・コミュニケーションの方法を一緒に考える
・保護者へのフィードバック
・スタッフとのチーム連携

でもそれは、子どもたちの「安全」と「安心」が守られていてこそ。そして私たち支援者が、心を持って働ける職場環境があってこそ、初めて成り立つのです。

 


リハビリ職が関わるということ

放課後等デイサービスの活動で大切ななことは、「訓練」ではなく、日常の中に自然に組み込める支援を届けること

 

PTが関わることで、こういうふうに身体を動かしたらうまくいった!「またやってみよう」と思えるようになる。

OTが関わることで、生活のなかの動きが上手くできるようになってきた!「こんな遊びで楽しめるようになった」「他のこともやれるかも!」となる

STが関わることで、子どもたちが「もっと伝えたい」「もっとわかってほしい」となる。

そして、それを一緒に支えるのが、現場で働くリハビリ職以外の、あなたたちの力です。

 

 

まとめとして

今回は、人が離れていく放課後等デイサービスについて お話ししました。

今、施設がなんとか回っているのは、他のスタッフたちが「子どものために」と歯を食いしばっているからです。

そのことを、どうか忘れないでほしい。
上に立つ人が変わらなければ、現場の崩壊は時間の問題です。

 

そして、私たち言語聴覚士は、逃げません。
けれど、自分の専門性を無視される場所に、立ち続ける義務もありません。

「子どものために」
それを本気で考えてくれる場所で、本気で支援をしていきたい。

あなたが「子どもの笑顔のために」働こうとしているなら、必ずその思いをわかってくれる人がいます。あなたの「力」を必要としている場所は、必ずあります。

言語聴覚士も、そのひとりです。
一緒に、子どもたちの「できた!」を支えていきましょう。


よかったら参考にしてみてくださいね。

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