噛む力はどのくらい違うのか?
子どもは私たちが思っている以上に噛む力が弱いです。障害がある子の中にも噛む力が弱い子は多くいます。
ということは、私たちと同じものを食事で出されてもうまく食べられない、ということになります。
それらの違いがどのくらいなのかをみていきましょう。
大人の噛む力
噛む力のことは、咬合力(こうごうりょく)と呼ばれています。噛む力は年齢や体重によって大きく変わってきます。それでは大人の噛む力はどうなっているのでしょうか。下記は健康な若者の咬合力の平均です。
成人男性:71.3kgf ±16.8kgf (699.4N)
成人女性:47.5kgf ±15.3kgf (465.9N)
※健常若年者
健常若年者における咬合力と口唇閉鎖力の関連
これは、どのくらいの力で噛むことができるのかという数値です。通常、咬合力の単位はN(ニュートン)ですが、今回は分かりやすいようにkgfに換算しています。
kgfとはバネ秤ではかることのできる重さのことです。上記の男性の場合、咬合力は71.3kgfです。これは、71.3kgの力で噛んでいるということになります。
上記は平均値ですが、このくらいの力で潰すことができるということです。商品によっても硬さは異なるので目安です。
たとえば咬合力が5kgしかない子に煎餅をあげても・・・食べられませんよね。
子どもの噛む力
では実際に子どもの噛む力(咬合力)はどのくらいのでしょうか?
子どもは成長するにしたがって、少しずつ大人の口の形に近づいています。しかし、幼児と大人は同じではありません。
幼児の噛む力
・口の中の容積
⇒ 大人の1/2程度
・噛む力
⇒ 大人の1/3~1/5程度
子どもの噛む力平均
3歳児
男:14.0kg 女:13.7kg
4歳児
男:15.6kg 女:15.2kg
5歳児
男:21.3kg 女:20.4kg
6歳児
男:25.0kg 女:22.4kg
7歳児
男:29.9kg 女:27.2kg
8歳児
男:30.5kg 女:26.8kg
9歳児
男:36.6kg 女:32.6kg
10歳児
男:39.4kg 女:33.0kg
11歳児
男:42.4kg 女:39.4kg
12歳児
男:43.4kg 女:39.4kg
※3~5歳
『小児の咬合力, 咀嚼能力の測定に関する研究(1992年)』より
※6~12歳
『年齢別 平均 咬合力 と年齢 変化 につ いて(1998年)』より
だいぶ古いデータで計測の条件も異なるため、だいたいの目安として考えてください。
一般的に、咬合力=体重 と言われています。男児はこれにだいたい当てはまるのですが、女児の場合は体重と比べても咬合力の方が弱くなる傾向があります。
現代と比べてみると
現代の子は昔の子と比べると「噛む力が弱くなった」と言われています。少し古い資料なのですが咬合力を比較したものです。
少しですが現代の子の方が噛む力が弱いことが分かります。
ついでに
動物の咬合力はどうなの?
・・・いろいろ考えさせられます。
参考資料
◆小児の咬合力, 咀嚼能力の測定に関する研究(1992年)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspd1963/30/3/30_590/_pdf
◆幼児の咀嚼能力と摂食状態との関係について
https://www.niph.go.jp/wadai/mhlw/1988/s630939.pdf
◆年齢別平均咬合力 と年齢変化について
https://www.jstage.jst.go.jp/article/soshaku1991/12/2/12_2_128/_pdf
◆ときざね矯正歯科 噛む力を測ろう(2016年)
https://www.tokizane.com/newspaper/image/present_2016summer.pdf
◆咬合を考える vol.5:咀嚼力について
http://w28dc.com/wp-content/uploads/2013/01/science2.pdf
◆スプーン・フォーク スプーン・フォークの
選び方&使い方
https://www.fukushijigyodan.toyota.aichi.jp/pdf/spoonfork.pdf
◆健常若年者における咬合力と口唇閉鎖力の関連
https://www.jstage.jst.go.jp/article/keitaikinou/15/1/15_2/_pdf