障害児支援のオススメ本を紹介
障害を持つ子を支援するためには知識が欠かせません。情報や技術は、先輩から直接教えてもらうのが一番です。しかし、それができない人もたくさんいます。そういう場合は、研修や本から情報を得ていくしかありません。
障害児支援を行うとき、悩ましいのが「子どもをどうやってとらえればよいのか?」という見方の知識ではないでしょうか。これを助けてくれるのが「感覚と運動の高次化理論」です。理論という名前がついていますが、簡単に言ってしまうと「考え方」を教えてくれるものです。ひとりで支援の知識や技術を学ぶためにも有効な手段です。
この「感覚と運動の高次化理論」は、長年、書籍があまりでていませんでした。近年、少しずつ増えています。今回、紹介するのは「感覚と運動の高次化理論」のスタートブックです。分かりやすい本で「感覚と運動の高次化理論」を学んでみませんか?
どんな本なの?
今回オススメするのは『感覚と運動の高次化理論に基づく 教材の活用とかかわりの視点』。長いタイトルです。簡単に説明しますと・・・
「感覚と運動の高次化理論」とは、淑徳大学の宇佐川浩先生によってつくられた理論です。障害を持った子の「捉え方」を身につけたり、子どもたちに「してあげられること」を学んだりする理論(支援の考え方)です。
宇佐川先生が亡くなってから、何人かの先生方によって本は出されています。そのなかでも、現・淑徳大学で教授をされている 池畑 美恵子先生が書いた、もしくは監修した本がいくつかあります。
それが今回紹介する『感覚と運動の高次化理論に基づく教材の活用と関わりの視点』という本です。
二部構成になっています。第一部は「支援者の基本姿勢」と「感覚と運動の高次化理論」の紹介。この理論では発達をどのように捉えていくのかが書かれています。さらに、支援者はどのように子どもと関わっていけばよいのか?を教えてくれます。
第二部では「教材・教具の使い方」や「課題のやり方」など。実践で役立つことを教えてくれます。
オススメする理由
この本は「感覚と運動の高次化理論」が生まれた淑徳大学から出版されています。ここの教授である 池畑美恵子先生が監修、生みの親である 宇佐川浩先生に関係する人たちが執筆しています。
オススメのポイントを説明していきましょう。
読みやすい
この本の位置づけは専門書です。本屋さんでは「障害」「特別支援」といった棚に置かれていることが多いです。しかし、実際に手に取ってみると、読みやすく、見やすい本だということが分かります。専門書というよりは参考書や読み物に近いのです。
まさに、現代版「感覚と運動の高次化理論」の本なのです。
一人職場でも実践しやすい
これまで出版された「感覚と運動の高次化理論」の本にも、療育のやり方は何となく書いてありました。しかし、難しい書かれ方をしていました。今回の本では、誰が見ても分かるような表記の仕方がされています。
・活動 ⇒どんな内容か?
・ねらい ⇒何を目指して行うのか?
・特徴 ⇒課題の特徴
・発展の仕方 ⇒バリエーションの紹介
参考書的に、知りたい情報を絵らえるような作りになっています!
「感覚と運動の高次化理論」の本だから
「感覚と運動の高次化理論」とは、障害を持つ子と関わるときに気をつけるべきことが書かれた本です。特に、障害の程度が重い子どもの発達をどのように捉えればよいのか?を教えてくれる理論(考え方)&支援(関わり方)です。
この本をオススメする一番の理由は「感覚と運動の高次化理論」の本だから、です。それだけではなく、これまで出版された本を踏まえて出された本なので、分かりやすいのです。
この理論では、子どもたちには「分かりやすく」関わりましょう、と強調します。しかし、支援者には難解なものの言い方をしている部分がありました。今回の本は、それが激減。だから非常に分かりやすいのです。
また、「感覚と運動の高次化理論」関連の本は意外と少ないです。本が増えるということは、情報をいろんな角度から収集できるということです。代表的なものは次の 4 冊。
※一番下は今回紹介している本です ↑
「知る人ぞ知る」という役に立つ理論「感覚と運動の高次化理論」。これまで出ている本は意外と難解で、一度読んだだけでは理解しきれないものでした。
しかし、少しずつ 誰もが理解できるように嚙み砕いて教えてくれる本が出てきました。それが、前回&今回でた本なのです。
・感覚と運動の高次化理論からみた発達支援の展開
・感覚と運動の高次化理論に基づく教材の活用とかかわりの視点
まとめとして
今回は『感覚と運動の高次化理論に基づく教材の活用とかかわりの視点』を紹介しました。わたしも障害児の施設で 10 年以上、言語聴覚士(ST)として働いてきました。どの職場にも先輩STはいませんでした。いわゆる「一人職場」です。
そこで療育や訓練法を学ぶために目をつけたのが「感覚と運動の高次化理論」でした。今となって考えると、この理論を信じてよかったと思います。極めることはできていませんが、考え方を知ることができました。それでも「自信」につながります。本当にありがたい。
若い療育家やセラピストにもオススメできる理論ですが強制はしません。ぜひ読んでみて、参考にしてもらえればと思います。
『感覚と運動の高次化』その他の本
タイトルの画像(アイキャッチ)に移っている4冊の本を紹介します。
◆宇佐川浩先生の本
感覚と運動の高次化理論の一番、基本となる本2冊です。
その他の本
宇佐川先生以外の先生が書いたオススメの本です。どの本も障害児支援について書かれています。