拗音・促音・撥音・長音の違いと教え方
日本語には「ひらがな」「カタカナ」「漢字」があります。なかでも、「ひらがな」は一見するとシンプルな文字体系ですが、実際にはいくつかの種類に分かれています。大人は自然と理解していますが、子どもにとっては混乱しやすいポイントが多く存在します。
たとえば、「きゃ・きゅ・きょ」といった拗音や、「がっこう」のような促音。小さい文字や伸ばす音でつまずく子どもは少なくありません。読み書きの学習が始まったばかりの子どもにとって大きな壁になります。
今回は、言語聴覚士の視点から、ひらがなの種類と子どもがつまずきやすいポイント、そして家庭や療育等でできる支援方法について解説します。
ひらがなは4つの種類に分けられる
ひらがなは大きく次の4つに分類できます。
・清音(せいおん)
・拗音(ようおん)
・促音(そくおん)
・撥音(はつおん)
これらは見た目だけでなく、発音の仕組みも異なるため、子どもが混乱しやすいのです。さらに、これらに加えて、
・濁音(だくおん)
・半濁音(はんだくおん)
という「〝 」「 ゜」もあります。
それでは、一つずつ解説していきます。
清音(せいおん)とは
清音は、いわゆる基本の50音です。
50音とは
⇒日本語のひらがなのことです。50文字あるわけではありません。
現在46個です。 昔の文字を入れるか?でかわります
「あいうえお」「かきくけこ」など、ひらがなの中で「濁音(〝)」「半濁音( °)」がつかないものです。濁点や小さい文字がつかない最も基本的な音を指します。ひらがなの学習は通常、この清音から始まり、多くの子どもは比較的スムーズに習得します。
拗音(ようおん)とは
拗音は、「きゃ・きゅ・きょ」のように、子音と小さい「や・ゆ・よ」を組み合わせた音です。
・きゃ
・しゅ
・ちょ
拗音では、文字は2つでも音は1つとして発音されます。(「きゃ」=「き」+「ゃ」)この「文字と音の数が一致しない」点が、子どもにとって大きな難しさになります。
促音(そくおん)とは
促音は、小さい「っ」を使って子音を詰まらせる音です。
・がっこう
・きって
・まって
促音は、発音としては一瞬の「間」を表しますが、文字としては独立して存在するため、読み書きの両方でつまずきやすい特徴があります。
撥音(はつおん)とは
撥音は「ん」の音です。
・りんご
・ほん
・せんせい
撥音は後ろに続く音によって発音が変化するため、音韻的に複雑な特徴を持っています。
長音(ちょうおん)とは
長音は、母音を長く伸ばす音です。
・おかあさん(おかーさん)
・せんせい(せんせー)
・こうえん(こーえん)
表記と発音が一致しないことが多く、子どもにとっては混乱の原因になります。
濁音
濁音は、濁った音。「 〝 」がつく音のことです。
・だいがく
・がんばる
・めがね
・半濁音
半濁音は、「ぱぴぷぺぽ」のような、丸がついた音。「 ゜ 」がつく音のことです。
・ぱぱ
・ぺん
・ぱん
なぜ子どもは拗音や促音でつまずくのか
言語聴覚士の臨床現場では、ひらがなを覚える段階で特に拗音・促音・撥音でつまずく子どもを多く見かけます。その背景には、次のような要因があります。
・音のまとまり(音節)の理解が難しい
・聞こえた音を正確に分解する力(音韻認識)が未熟
・文字と音の対応関係を処理するワーキングメモリの負荷
特に拗音は「き・や」と2文字に見えるのに「きゃ」と1音として処理しなければならないため、認知的な負担が大きくなります。
現場でよく見られる子どもの間違い例
実際の支援現場では、次のような読み間違いや書き間違いがよく見られます。
・きょう → 「きよ」 と読む
・がっこう → 「がこう」 と書く
・しんぶん → 「しぶん」 と読む
これらは単なる覚え間違いではなく、音のまとまりの理解が未発達であることを示している場合があります。
ひらがなの練習におすすめの教材
オススメの教材を紹介します。
カード教材(視覚支援に最適)
絵カードにも難易度があります。より写真に近いリアルな絵のほうが、子どもは理解しやすいのです。逆に抽象的な絵の場合、理解できないこともあります。
→ くもんの絵カードは、リアルで分かりやすいです。
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言語聴覚士向けの音韻トレーニング教材
ひらがなトレーニング
→ 読み書きが苦手な子ども向けに音韻認識を強化できる構成になっています。
▶ 読み書きが苦手な子どもへの〈基礎〉トレ-ニングワ-ク (通常の学級でやさしい学び支援 1巻)
家庭学習向けのワーク
ゆっくりていねいに学びたい子のためのひらがなワーク
→ つまずきやすい拗音・促音の練習が段階的に行えます
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オノマトペ
オノマトペ(擬音語・擬態語)は、「ザーザー」や「きらきら」のような、音や状態、感情などをリズムの良いことばで表したものです。
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ことばの本
本は、常に手元においておくことができるすぐれものグッズです。親御さんだけでなく、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に楽しく読めるのも本の利点です。
▶ 何歳でも使える!ことば・文字を覚えるためのオススメ本の紹介
▶ 楽しみながら、ひらがなを学んでいけるオススメの本もあります。
家庭や放課後等デイサービスでできる支援方法
家庭でお子さんに関わるとき、施設で子どもたちに支援するとき、知っておくと良いポイントがあります。
1. 音を区切ってゆっくり発音する
「が・っ・こ・う」のように音を区切って提示することで、子どもは音の構造を理解しやすくなります。
たとえば、「がっこう」であれば、ゆっくりめに言ってあげることで、4つの音からできていること(単語の構造)が理解しやすくなります。
2. 小さい文字を視覚的に強調する
拗音や促音では、小さい文字の役割を理解することが重要です。カードや色分けを使うことで、視覚的な手がかりを増やすことができます。
3. 書くだけでなく音読を組み合わせる
ひらがなの習得には、視覚だけでなく聴覚と運動の両方を使った学習が効果的です。声に出して読むことで、文字と音の対応が定着しやすくなります。
ひらがなのつまずきは読み書きの発達と深く関係する
拗音や促音の理解が不十分なまま学年が上がると、漢字の読みや文章読解にも影響が出ることがあります。
そのため、早い段階で子どものつまずきに気づき、適切な支援を行うことが重要です。
▶ 音のことをもっと学びたい方はこちらもどうぞ
まとめとして
意外と知らない、というか忘れている「ひらがな」の分類名。日常的にこれらの名称を使うことはないと思います。
ひらがな は一見シンプルに見えますが、実際には複数の種類があり、子どもにとっては難しい要素を多く含んでいます。
特に拗音・促音・撥音・長音は、音と文字の関係が複雑なため、つまずきやすいポイントになります。
子どもが繰り返し間違える場合には、「覚えていない」のではなく、「音の仕組みを理解する段階」にある可能性もあります。
言語の発達段階を踏まえながら、家庭や支援現場で無理のない練習を積み重ねていくことが大切です。
よかったら参考にしてみてくださいね。
▶ ことば以外にも発達の土台と支える力があります。
⇒ 考える力(思考)の発達とは?発達段階&年齢の順序【1歳~】




