言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

嚥下訓練を行うのは誰か?言語聴覚士(ST)でなくでもやっていいの?

嚥下訓練は誰がやってもよいのか?

障害や病気などが原因で、上手に食べられない子はたくさんいます。

そういう子が目の前にいれば「なんとかしてあげたい」「訓練をすればよくなるんじゃないか?」と思うはずです。ちょっと調べれば訓練のやり方は分かります。様々な嚥下(えんげ)訓練が本や You Tube などで紹介されています。

では、この嚥下訓練。誰がやってもよいのでしょうか?今回は「食べること」の専門家である言語聴覚士(ST)の視点から説明していきます。

 

 

 

医療行為でなければ誰でもできる

病院などでは言語聴覚士(ST)という専門職が食事(嚥下)のリハビリ・訓練を行うことが多いです。

しかし、資格を持たない人が食事(嚥下)の訓練を「やってはいけない」という決まり法律はありません。やろうと思えば誰でもできるのです。

ただ、何も考えずにやってしまうのはリスクが高すぎます。

・本に書いてある通りやったけれど、なんだか上手くいかない
・訓練中、急にムセ出した
・呼吸が荒くなってきた

一見食べられているように見えても実は丸飲みしているだけだった、というケースは非常に多いのです。

訓練を始める前に食事の専門家を頼ってみてください。専門職が絶対正しいわけではありませんが、助言くらいはくれるはずです。

 


食事の訓練にはこんな矛盾点が!

「食べること」を専門としている職種はいくつかあります。障害を持った子の場合、言語聴覚士(ST)が食事の訓練(嚥下訓練)を行うことが多いです。

しかし、問題があります。

言語聴覚士は、医師または歯科医師の指示がなければ嚥下訓練(えんげくんれん)はできないのです。

 


言語聴覚士法という壁

言語聴覚士は「言語聴覚士法」という法律にのっとって行動をしています。

言語聴覚士法

第四章 業務等
(業務)
第四十二条 言語聴覚士は、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項及び第三十二条の規定にかかわらず、診療の補助として、医師又は歯科医師の指示の下に、 嚥下訓練、人工内耳の調整その他厚生労働省令で定める行為を行うことを業とすることができる。

厚生労働省ホームページより
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80998053&dataType=0&pageNo=1

 

 

矛盾点の例

ちまたには「自宅でできる嚥下訓練」なる本がたくさん出ています。

食物を使わないマッサージ等の「間接訓練」だけでなく、食物を使って噛む練習を行うような「直接訓練」も紹介されています。

ここでひとつ疑問が。

先ほども申し上げたように、言語聴覚士が「嚥下訓練」を行うときには必ず医師の指示が必要です。

しかし、言語聴覚士ではな人はそのルールに従う必要はありません。


言語聴覚士以外、誰でも嚥下訓練をやってよいということになります。

「言語聴覚士は“食べること”の専門家です」と言いながら、みんなができる訓練はできない。

なんだこれ。

 


どんな問題が起こるか?

食事の訓練が必要な子は、どこかしらに苦手さがあります。

・噛むこと
・舌を動かすこと
・食物を口の中に入れ続けること
・飲み込むこと

どれも上手に食べるには必要な力です。

訓練を行うときに気をつけなければならないこともたくさんあります。
それは能力や状況に合った訓練を選ぶということです。

そのため
今どんな発達段階なのか?
何が苦手なのか?

に加えて

身体の動き、姿勢はどうか?

なども考えてから訓練を行う必要があります。

 

 

やるなら安全を最優先に!

もしも、本を見ながら嚥下の訓練をやるのであれば気をつけたいポイントがいくつかあります。

 

無理はさせない
 ⇒当たり前だと思われるかもしれません。しかし、意外と子どものことを見ないまま訓練を進めているケースが多いです。いま子どもが持っている力を把握することが大切です。子どもの能力以上の訓練をすると事故につながる危険があります。


練習を行う時間を考える
 ⇒食事のときにあれこれやらせ過ぎると食事自体が嫌いになります。食物を使わない訓練であれば食事以外の時間に行うことがオススメです。食物を使った練習は食事場面でしかできませんが。

 

何となくやらせない
 ⇒よくみられるのが箸の練習(の強制)です。まだ十分にスプーンも使えていない子に「中学生になったから箸を使いなさい」「使う練習を始めましょう」というのはちょっと待ってください。
物事には順番があります。簡単なものから一個ずつクリアして、身につけていって、はじめて新しい力を手に入れられるのです。

 

ex.箸を持つ練習

⇒ ままごとなどの遊びの中でトングを使ってみます。箸と手の使い方が似ているので無意識的に練習になります。エジソン箸も素敵ですが、トングも便利です!トングのサイズは子どもが使いやすいサイズでOKです。

 

 

まとめとして

 

今回は嚥下訓練は誰でもやっていいのかというはなしをしました。この問題の答えとしては

・誰がやってもOK
・でも安全第一で
・子どもの現状をよくみて

ということを考えること最低限必要です!

無理はせず!です。よかったら参考にしてみてくださいね。