イヤーモールド
イヤーモールドとは、耳の型を採った耳栓です。補聴器業界にいないと全くお目にかからない「イヤーモールド」。言語聴覚士の方は覚えていますか?学生時代に習った、あれです。
今回は、イヤーモールドについてです。
どうやって使うの?
補聴器として使うのであれば、耳かけ型補聴器の先につけます。既成のイヤーチップもあるのですが、それでは耳に合わない人もいます。また、音を大きくしないと聞こえない人もイヤーモールドをつけて耳穴の隙間をなくします。
補聴器以外にも、歌手の人がイヤホンとして耳につけています。TVに映るときる見えるあれです。歌手の人のイヤーモールドは、ラメが入ったり色がついていたり、おしゃれなタイプが多いです。
値段は?
イヤーモールドだけで10,000円弱が相場です。補聴器販売店や耳鼻科(補聴器取り扱いのあるところ)で作ることができます。しかし、イヤーモールド単体で販売していないことろもあるので注意が必要です。
通販でも印象剤(耳型を採る際の粘土みたいなもの)セットが売っています。しかし、知識のない人が耳型採取を行うのは危険を伴います。鼓膜が破れたり、印象剤が取れなくなったり・・・。私が補聴器店で働いていたときでさえ、いくつも店員による事故を耳にしました。・・・恐ろしい。
通販だと安く済む、とお思いかもしれませんが、自己の際の手術代金など含めると、かえって高くつきます。
イヤーモールドは、素材もいくつかあります。
・ハード
・ソフト
着け心地や耐久性が変わってきます。
ハードと比べると、ソフトの方が若干金額が上がります。
イヤーモールドのメリット
耳型はその人によって異なります。なので、毎回、型を取ってイヤーモールドを作るのです。しっかりと穴をふさぐことができれば、耳穴から音が漏れにくくなります。また、落ちにくくもなります。メリットとしては下記の3点です。
① ハウリング防止
② 保持が良くなる
③ 音響特性を安定させる
※高度、重度難聴の人は出力が高く必要です。そのため、ハウリングが起こりやすい。
耳型採取
耳穴型(挿耳型)補聴器やイヤーモールドを作るためには、耳型を採ることが必要です。その際、耳鼻科医の関与も必要となります。言語聴覚士は耳型採取の実施が認められています。しかし、養成校ではほとんど学んでいないのが現状です。
手順
① 綿球を入れる
② 空気が入らないように印象剤をゆっくり内部へ
③ 固まったら空気を抜きながらとる
勢いよくやると鼓膜が破ける危険性あり
(印象剤、鼓膜感が陰圧になるため)
注意点
① 手術をしてことがある耳では、外耳道の形が変わっていることがある
耳栓が抜けなくなるケースがある
→耳鼻科医に取ってもらう
ex.外耳道形成術、中耳根治術、鼓室形成術など
② 印象剤が残らないように
摘出が大変。最悪、手術になります。
③ 中耳炎をやった人
→鼓膜が薄くなっている(萎縮している)可能性あり破けやすい。
④ 外耳炎を起こすケースがある
→印象剤による刺激
CICと呼ばれる、外耳の骨部まで入れるタイプを作るときには、第1カーブまで印象剤を入れる必要がある。
まとめ
イヤーモールドとは
・既成のイヤーチップでは耳穴に合わない
・出力を高くしたい
・ハウリングを抑えたい
最近では様々な色も出てきており、おしゃれになってきています。
補聴器=隠すもの
という考えだったのが、若い人たちを中心に
補聴器=おしゃれを楽しむもの
という意識が強くなってきています。
ただの「福祉機器」から「楽しむもの」へ
素敵なことだと思います。
言語聴覚士も、そのお手伝いができたら、と思います。
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