物事の捉え方には2種類ある!「同時処理」と「継次処理」の違い
「同時処理」「継次処理」ということばを聞いたことがありますか?
人間が情報を理解するための方法(処理の仕方)のことです。
どちらが優れているというものではありません。
ただ理解するまでの道のりが異なるだけです。
この考え方はビジネスや福祉で使われることが多いです。
今回は、障害児施設で働くときに使える「同時処理」と「継次処理」の視点について説明をします。
一緒に仕事をする人がどちらのタイプなのか?を知っておくことで仲間へのフォローがしやすくなり、自分自身が働きやすくなるはずです。
障害児だけではなく、スタッフ間、特に上司から部下に伝達のときにも使える考え方です。
情報伝達・共有は支援職で欠かせないスキル
自分の意図は相手にしっかりと伝わっていますか?
福祉や医療などの支援職では申し送り等の情報共有が欠かせません。;
たとえば、仕事を始める前には必ず打ち合わせがあります。
担当者が他のスタッフへ「本日の流れ」「子どもの様子」などを説明します。
ベテランスタッフであれば、担当者の「ことば足らず」「時間がタイト」などの癖を踏まえたうえで、その意図を把握していくと思います。
しかし、注意していても、どうしても理解できないときがあります。
その原因のひとつに認知処理の違いがあります。
認知処理とは人が情報を理解するための方法の違いのことです。
その方法は大きく分けて2つあります。
・同時処理
・継次処理
継次処理と同時処理
同時処理・継次処理という言い方を聞いたことはないでしょうか?
発達障害の分野で使われることが多いものですが、近年ビジネスの世界でも聞かれるようになってきました。
同時処理(どうじ しょり)
まずは全体を把握してから細部を認識していくタイプ
継次処理(けいじ しょり)
順番に考え、処理を行っていくことが得意なタイプ
ex. 先輩が継次処理タイプ・後輩が同時処理タイプ
先輩が継次処理タイプで、順を追った説明を丁寧にしているけれど、それを聞いている後輩は同時処理タイプ。
早く全体像を知りたくて先輩の話が全然頭に入ってこない。
うまくいくはずがありません。
これは悲劇です。
同時処理
まずは全体を把握してから細部を認識していくタイプです。
申し送りの例
今日は○○公園へいきます。
15:00までに帰って来てください。
子どもの担当と活動の流れは、この(紙に書いてある)通りです。
このような指示で「ゴール(目的)」と「求められているもの」が把握しやすいタイプです。
ゴールに向けて物事を進めていきます。
だから「結果的にどうすればいいのか?」が分かることが大切。
そのため、自分はどこまで求められているのか?
全体像が分からないと不安になりやすいです。
継次処理
順番に考え、処理を行っていくことが得意なタイプです。
申し送りの例
今日は○○公園へいきます。
11:00に出発して、付いたらすぐにお弁当にしてください。
公園で遊んだ後、15:00までに帰って来てください。
子どもの担当と活動の流れは、この(紙に書いてある)通りです。
このような指示の出し方をします。
ひとつひとつ積み重ねて(こなして)いく。
「どのような順番で進めるかを予め知っておく」ことで安心できる。
例)障害児施設での指示書
本日の活動内容の指示書を、各処理の人向けにそれぞれ作ってみました。
こんな感じでしょうか。
自分の考えなんて100%伝わらない
私は福祉業界で長年働いています。
上司と部下の認知処理のタイプが異なることは必ずあります。
それによるすれ違いを起こります。
上司と部下が同じタイプの場合、上司はその部下に良い評価を与えがちです。
自分と同じ捉え方をするから伝えやすいだけです。
それを知らない周囲の人たちは「なんだこの上司は」と思ってしまうでしょう。
もちろん正当な評価とは言えません。
物事の捉え方が同じというだけなのです。
目に見えないことにもお互い気を配る必要があります。
それが分かれば、イライラすることも減るのではないでしょうか?
相手に自分の意見を伝える時には「伝わったかな?」ということに着目したいです。
・どのくらい伝わっているのか?
・理解できたかな?
ビジネス書などには「部下に復唱させる」等の提案をしている本もあります。
確かにそれも一つの手かもしれません。
しかし、それよりも「理解できているかな?」を常に考えて、分かっていなさそうなら他の方法で伝える方がよいのではないかと思います。
この考え方は障害児への支援にも応用できます。
大人が出した指示が伝わっていなかったら、他の手段を使って子どもに伝え直す。
まとめとして
今回は「同時処理」「掲示処理」について説明しました。
相手に伝わっているのか?
働くうえで大切な視点です。
今回の復習です。
「同時処理」と「掲示処理」は福祉現場でも活用できる。
・子どもの評価に使えるもの
・大人同士のやり取りでも使える
よかったら参考にしてみてくださいね。
あわせて読みたい