「職員の温度差」にどう向き合うか?
「自分だけ頑張ってる気がする」…そう感じることがありませんか?
放課後等デイサービスで働いていると、ふとした瞬間に思うことがあります。
「なんであの人、あんなにやる気がないんだろう」「私ばっかり動いてない?」
子どもたちの支援は、チームで進めていくもの。
でもその中で「やる気の温度差」を感じたことはないでしょうか?
その小さなズレが積み重なると、モヤモヤが膨らんでしまうのです。
そんなとき、どう考えたらいいのか?
どう関わればいいのか?
今回は「職員の温度差」と上手につき合うためのヒントをお話しします。 放デイの現場でモヤモヤしないためのヒントです。
温度差の種類
障害児支援で働く人たちは、基本的に子どもが好き、もしくは興味がある人が多いです。もちろん、熱の入れようは人それぞれ。だからこそ、スタッフ間での「温度差」が生じてしまうのです。その種類は様々。
・仕事への情熱
・子どもが好きという気持ち
・自分の職業に誇りを持つということ
もちろん、それらも人それぞれなので個人差が大きく見えるのです。
・やる気が「ない」人
・価値観が異なる人
・頑張りすぎる人
いろんな「温度差」があります。これらの人との違いよって何が起こるのか?
悪いことだけなの?
どう対処すればいいの?
それでは、ひとつずつ紹介していきましょう。
「温度差」への対応
まず大前提としてお伝えしたいのが「温度差があるのは自然なこと」ということです。
施設で働くスタッフたちは、みんな立場も経験も違います。
・学校や病院で長く働いてきた人
・子育て経験がある人
・新人でまだ戸惑いながら働いている人
同じ子どもを支援していても、どこに力を入れたいか、どんな視点で見ているかは違って当然です。
「子どもを楽しませたい」という人もいれば、
「姿勢を整えたい」「生活リズムを整えたい」という人もいる。
だから、温度差=悪いことではありません。子どもをみる視点が違うだけかもしれない。むしろ、支援の幅を広げるチャンスなのです。
「あの人、やる気ない」本当にそう?
とはいえ、現場で見ると「やる気ないように見える」人はて、確かにいます。
でも、少し角度を変えてみると、別の理由が見えてくることがあります。
・以前の職場で意見を言ってトラブルになり、控えめになっている
・家庭の事情や体調の問題で、全力を出しにくい時期がある
・自信がなくて、どう動けばいいか分からない
一見「冷めてる」ように見えるけど、本当は迷っているだけかもしれません。
そんなときに「なんで動かないの?」と責めるよりも、「最近どう?」と気軽に声をかけてみると、意外な本音が出てくることもあります。
自分の“正しさ”を押しつけない
支援の現場で一番難しいのは、「正しさ」が人によって違うこと。
「もっと声をかけるべきだ」
「いや、今は静かに見守るべきだ」
どちらも、子どものためを思っての意見です。しかし、お互いに譲らないとき、雰囲気がピリッとしてしまいます。
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以前、スタッフ同士で意見を譲らず大喧嘩しているのを見たことがあります。しかも、子どもたちの前で。支援のための時間のはずなのに・・・。これでは本末転倒です。
正しさの基準は「自分」ではなく「子ども」
そんなときは、「どちらが正しいか」よりも「子どもにとってどちらが心地よいのか?」を基準に考えると、話しがスッと落ち着くことが多いです。
支援は理屈や理論だけでは進みません。
子どもの表情や反応を見て「今、この子に合ってるかな?」と確かめながら進めることが大切です。
「温度差」を埋めるより“理解する”こと
温度差があるとき「なんとか同じ温度にしたい」と思ってしまいがちです。しかし、実際は、それを無理に合わせようとすると、かえって疲れてしまうことがあります。
大切なのは、
「どうしてその温度なのか?」を理解しようとする姿勢です。
たとえば、
「最近、○○くんへの声かけが少ないように見えるけど、何か考えがあるのかな?」
といった形で聞いてみる。
意見をぶつけるのではなく、相手の背景を知ろうとする。これだけで関係の空気がまったく変わります。
「頑張りすぎる人」も温度差を生む
意外かもしれませんが、温度差は「やる気がない人」だけでなく「頑張りすぎる人」によっても生まれます。
常に全力で支援し、資料も完璧、子どもにも丁寧に関わる。もちろん素晴らしいことですが、周りが「ついていけない…」と感じることも。そうなると、チーム内で見えない距離が生まれてしまいます。
支援はマラソンのようなもの。短距離走のように全力疾走してしまうと、続きません。
お互いにペースを合わせながら、長く走ることが大切です。
話し合いの場を「指摘の場」にしない
支援会議やミーティングで、「あの人が動いてない」と不満を言いたくなるときもありますよね。しかし、そこで個人を責めてしまうと、チームの空気が一気に悪くなってしまいます。
会議の目的は「子どもの支援をよくすること」。だからこそ、「誰が悪いか」ではなく「どうすれば良くなるか」を話すようにします。
たとえば、
「最近○○くんの活動参加が減ってるように感じます。何かできる工夫ありますか?」
というように、みんなで考える形に変える。
そうすると、「あの人が」「この人が」という矛先が子どもに戻り、建設的な話し合いになるはずです。
温度差が生まれたらチームが育つチャンス
いろんな人が集まっているのだから、考え方だって異なるはずです。意見が違うからこそ、新しい視点が生まれます。「そういう見方もあるんだ!」と気づくきっかけにもなります。
つまり、温度差はチームを育てるチャンスなのです。気持ちのよいチームをつくるためのポイントは次の3つあります。
・相手を「変えよう」とする前に「理解しよう」とする
・会話の目的を「正す」ではなく「整える」にする
・子どもも大人も楽しめる遊びや活動を入れてみる
これらを意識するだけで、職場の雰囲気はずっと穏やかになります。
子どもも大人も楽しめる遊びや活動
支援者にも、それぞれの考え方があるかもしれません。考え方にとらわれ過ぎない遊びや活動もあります。先ほど、お話しした、大人も子どもも楽しめるものを紹介します。どれも、みんなが同じ立ち位置で楽しめる活動です。
ポイントは、深く考えずに遊べるもの、です!
①スライムづくり
障害がある子もない子も好きな「スライム」。
◆材料
・せんたくのり
・ホウ砂(ホウシャ)
・水
・食紅
材料はドラッグストアで買うことができます。工程は混ぜるだけ。素敵。スライムづくりは子どもも好きな活動のひとつです。しかし、それ以上に大人の方が夢中になって取り組める活動でもあるのです。
②バスボムづくり
バスボムとは、お風呂に入れる入浴剤のことです。
・重曹
・クエン酸
・水
色をつけたいなら、ごく少量の食紅をつけてもよいです。爪楊枝に乗るくらいの量です!最初は ちょっと難しいのですが、コツがつかめれば楽しくなってきます。
まとめとして
感覚は、職場やチームの「温度差」をどのように捉え、どう、対処していけばよいのか?という話しをしました。簡単に言ってしまうと・・・違っていい、しかし「支援の方向性」だけはそろえようということです。
支援の現場には、さまざまな人がいます。経験も、性格も、考え方も。温度差があるのは当然のこと。しかし、子どもたちに向かう方向だけは、みんなで揃えたい。
「どんな支援が この子にとって幸せかな?」
この問いをチーム全員で持てていれば、温度差はむしろ強みになります。自分が少し疲れたとき、イライラしたときは、「この温度差は、チームが成長するための“ゆらぎ”なんだ」と思い出してみてください。きっと、その先に、子どもたちの新しい笑顔が待っています。
よかったら参考にしてみてくださいね。


