言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

骨髄バンクのドナー体験から得られたもの【ドナーの本音】

骨髄バンクのドナーをやってみた本音

以前、骨髄バンクのドナーになったことがあります。

周りからは「すごいね」「偉いね」と言われます。

しかし、実際どうだったか?

本人は何を考え感じていたか?

きれいごと抜きにどう感じていたのか?をお話ししたいと思います

 

 

骨髄バンクドナーの手術(採取)までの流れ

骨髄バンクの体験談は以前お話しした通りです。

www.hana-mode.com

 

体験して感じたこと

ドナーの流れ以外で感じたことを書いていきたいと思います。

 

なぜ骨髄バンクでドナーを引きを受けた?

よく聞かれます。

奉仕の精神だけでできるものなの?

答えは「よく分からない」です。

わたしの場合、自分のためでも患者さんのためでもありません。

何となくです。

この「何となく」が結果的に人の助けになった感じです。

 

患者は知らない人なんでしょ?

はい。

まったく知らない人です。

手術が終わった後でも患者さんと連絡をとることはありません。

 

ただ、もしも自分の子どもが病気になって骨髄移植が必要となったら・・・。

ドナーが見つからなかったら・・・。

と考えていました。

実際にそういう立場にいる人もいるはずです。

知らない人のためにそこまでするの?

と言われることもあります。

そんな意見は無視することにします。

 

途中でやめようと思わなかった?

止めようとは思いませんでした。

逆に「何としてでも手術までやってやる」と考えていました。

手術直前はただただ体調管理に勤めました。

結局、風邪をひいてしまいました。

どうにか入院までには治りましたが・・・。

 

無理なお願いはされない?

誤解されないように言っておきます。

骨髄バンクのドナーが周囲から参加を強制されることはありません。

ドナーが関わる下記のどの職種からも無理を言われることはありませんでした。

・医師
・看護師
・コーディネーター
・弁護士

 

体験してよかったか?

これは「よかった」です。

貴重な体験をしました。

自分の子どもにいろいろ伝えることができました。

「自分以外の人のことにも目を向けよう」

「困っている人に手を差し伸べる方法はたくさんある」

「自分だけよければいいとは思わないように」

ということを伝えられたのではないかと思っています。

 

マイナス面は?

いいことばかりではありません。

マイナスというかちょっと大変だったこともいくつかありました。

 

仕事の調整

骨髄採取はドナーになってすぐにできるわけではありません。

検査などを繰り返し行うため、数ヶ月前から準備をしていく必要があるのです。

この検査がクセモノです。

基本的には病院で行います。

そのため平日に何回か通院します。

社会人も仕事を休んで行きます。

気持ちよく送り出してくれるかは会社(もしくは上司)によります。

もはや運です。

 

痛いの?

骨髄採取=痛い、と思っている人は多いようです。

でも、大丈夫。

手術(採取)は全身麻酔で行われます。

点滴の針はチクッとします。

それ以外は痛みはありません。

麻酔が覚めてから多少、頭が痛かったです。

一晩寝たらよくなりました。

採取した跡は「重い」感じがする程度。

これも時間とともに消えていくそうです。

 

入院中のこと

部屋から出られないのは辛くない?

閉所が苦手なわたしは入院前はそれが心配でした。

しかし、意外と快適に過ごせました。

わたしの場合、個室を用意してもらえました。

部屋の窓が大きかったのはとてもありがたかったです。

 

退院は嬉しかった?

退院まではあっという間でした。

退院するときには「やったー!終わった!」というよりは「もう終わりか」という気持ちのほうが若干強かったです。

 

 

ドナーのメンタル

気持ちの面はどうだったか?

体験してみてメンタルの変化はあったか?

 

入院前

自分の体調管理に神経を使い過ぎました。

体重を落とさないようにしないと

コロナにならないだろうか?

自分がドナーになったせいで患者さんに悪影響が出たらどうしよう、と常に考えていました。

 

入院してから

逆に入院してからは変に安心して、完全にリラックスして手術(採取)に挑むことができました。

手術前日はあまり眠れませんでした。

手術中は麻酔で眠れるからいいや

と割り切って、綺麗な夜景と朝焼けをずっと眺めていました。

 

ドナー体験後に感じた本音

わたしたちドナーは手術後、傷が癒えれば終わりです。

しかし、患者さんは移植後も副作用と戦うのだそうです。

 

今回、わたしは骨髄液の提供をしました。

「良いことをした!」と両手を挙げて喜ぶのはただの自己満足なのかな?と感じました。

自分がやれることをやる。

そのうえで丁寧に生きていく。

これが今回、わたしが骨髄バンクのドナー体験をして得られた考え方です

 

良い人アピールなの?

周囲からそんなふうに思われているんじゃないか?

それが怖い。

いまでも怖いです。

こんなに身体を張ったアピールなんてする必要はありますか?

 

知らない人のために骨髄を提供する。

確かに、誰かの役に立つ行為だと思います。

でも、それを「すごいでしょ」とは口に出して言えない。

「やって当然」とは言えない。

 

 

一番うれしかったこと

今回の移植のことを5歳の息子に いろいろ説明しました。

・病気で血液の工場がうまくいかない人がいること

・たまたま わたしの血と同じタイプだったこと

・わたしの血を患者さんに分けてあげたこと

・(報酬が)もらえるわけではないということ

真剣に話しを聞いてくれた息子が最後に

「すごいね!」

と言ってくれました。

今回のドナー体験で一番うれしかったことです。

 

うまく言えませんが・・・

今回、ドナーを引き受けたのは、患者さんのためでもないし自分のためでもない。

「気まぐれ」としか言いようがない。

そんなわたしの「気まぐれ」でしたが、誰かの役に立ったら嬉しいです。

移植した患者さんには副反応が少ないことを願うばかりです。

 

まとめとして

今回は骨髄バンクのドナーになった感想とホンネを書きました。

ドナーに選ばれても手術(採取)までたどり着かないケースがたくさんあるそうです。

患者さんの都合だったりドナーの都合だったり。

今回、幸運にも?わたしはドナーに選ばれました。

実際に体験してみて得られるものは多かったです。

骨髄バンクに少しでも興味を持った方はホームページをチェックしてみてください。

よかったら参考にしてみてくださいね。

 

◆ドナー体験の流れはこちらの記事もご覧ください。

www.hana-mode.com