絵カード・写真カードとは、支援で使うも視覚的な伝達(補助)
例えば「調理道具の写真」を示して「いまから調理活動」
「冷蔵庫からトマトを持ってきて欲しい」ときに「トマト」のカードを見せる。
それを見た子どもが、「いまから調理をやるんだ」「トマトを持ってくればいいんだ」と理解して、次の行動に移るのです。
昔からある、支援の際に欠かせないもののひとつです。
放課後等デイサービスでもよく使っていると思います。
カードを使う目的
という2つがあります。
今回は、「理解」を促すための方法をまとめていきます。
1)「子どもの理解を促す」だけじゃダメ
自閉症の子は、自分が、いま、ここで、何をすればよいのかが分かりづらいことがあります。
そんな「分からない」「不安である」
コミュニケーションを補助する絵カード・写真カードですが、
・指示
・手順
・スケジュール
このうちどれが目的となっているのか?
2)どんな子が対象なの?
① 視覚優位の子
聞くだけでは何を言われているのか分からない子に対して有効だと
※発達が初期段階の子は、
② とっさの状況判断が苦手な子
そうした場合、パニックになってしまうこともあります。しかし、
③ 記憶が苦手な子
記憶と言っても過去のことを覚えておくものではなくて、
3)どんなカードがダメなの?
絵カードや写真カードは正解がありません。子どもによって、
① 絵に邪魔な情報が多い
例えば「公園のカード」をつくりたいとき。いつも行く公園を全体的にかっこよく写したとします。しかし、それでは子どもが「公園」と認識できないケースがあるのです。
なぜかというと、上方があり過ぎるからです。
その子がイメージしている「公園」は、「シーソー」だけかもしれません。
全体像を見て「公園」だなと思えるのは、私たちだけだといことは忘れてはいけません。
全体ではなく、部分的にクローズアップした写真にしてみます。
欲を言えば、背景は入れない方がよいです。
特定のものをターゲットにしたいのに、背景が映り込んでしまっては混乱します。
大人は気にならなくても、
② 1 つのカードに複数の意味が含まれている
1枚のカードを、いろんな場面で使えれば楽です。大人は。
これでは、
・ グラウンド?
・ サッカー?
・ 写っている子?
③ 実物とカードの色や形態が異なる
カードにも難易度があります。
1 実物2 切り抜いた写真
3 絵カード
4 背景つきの写真
5 背景なしの絵カード
6 簡単な絵(シンボリックな絵)もしくは白黒の線画
障害児の発達臨床〈1〉
感覚と運動の高次化からみた子ども理解(宇佐川浩) 学苑社(P.117)より
例えば、先程のサッカー。いつも使っているのは「白と黒のボール」。
それ以外は同じものだとは思わない。
この場合でしたら「白黒のサッカーボール」
④ カードのサイズが大きすぎる
カードをやたら大きく作っているのを他施設で見たことがあります
障害にもよりますが、子どもたちは私たちと比べて、視野(
そのため、サイズを大きくし過ぎてしまうと、
2)カードの使い方でNGなことは?
① 指示をした後に子どもをほめない
カードの意図を理解して行動に移してくれた。これを肯定することで強化していきたいのです。
また、カードを使うのは大人側の勝手なやり方です。なので、「(こっちのやり方を)分かってくれて、ありがとう」
きれいごとのようですが、
② 行動を抑制するためのカードを多く使う
意外と多い。カードを使うのは、
コミュニケーションの手段の一つとして使うのです。
相手に少しでも意図が通じるという経験が、子ども自身の「気持ちの安定」につながっていくのです。
子どもの行動を止めさせるときにばかり使っていると、カード=怒られるもの、
(ex. 好ましくない行動 ⇒「×」
③ ことばを用いずにカードだけを見せている
通行証じゃないんだから・・・。
しかし、これは意外と多いです。カードを使うのはよいのですが、それが作業的というか単なるルーティーンになってしまっている場合に見られるケースです。
④ カードをタイミングよく出せない
子どもは、常にこちらのかーをに意識を向けてくれるわけではありません。
例えば「それはやったらいけない」ときに「禁止」
しかし、
これでは、子どもは「
まとめ
カードを使うことが有効な子は
・ 視覚優位の子
・ とっさの状況判断が苦手な子
・ 記憶が苦手な子
ダメなカードとは
・ 情報が多すぎるもの
・ 実物と異なるもの
・ 大きすぎるもの
カードの使い方ダメなこと
・ 指示をした後に子どもをほめない
・ 行動の抑制のみにカードを使う
・ カードを出すタイミングが悪い
子どもによっても理解しやすさは異なります。色々試してみて、その子に合うものを使ってください。
参考文献
保育者が行う絵カード作成の誤りおよび不適切な使用方法の分類
-指示カードの誤りに着目して-
筑波大学 水野智美 教材学研究第 26 巻(2015)
言語聴覚士 臨床マニュアル
協同医書出版社
障害児の発達臨床〈1〉感覚と運動の高次化からみた子ども理解
宇佐川浩 学苑社
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