教科書には書かれていない内容がたくさん
近年、ダウン症に関する本も少しずつですが増えてきました。
しかし、発達障害と比べると、まだまだ数少ないのが現状です。
障害特性が薄く書かれている入門書や、「この子にはこんな特技があるんだぜ」みたいな本はたくさんでていますが・・・。
それでは本当に知りたい情報が手に入りません。
今回は、ダウン症の子を理解するうえで助けになる本を紹介します。
最近「ダウン症」の良書が増えている!
ここ数年、急に「ダウン症」に関する良本が増えてきました。
都度、オススメ本を増やしていきます。
専門書を買うときに重要な「出版年度」も書いてありますので参考にしてください。
オススメの本
ダウン症に関する、療育、保育、教育に関する本を紹介します。
ナンバリングされています。
これはオススメ順ではなく、わたしが読んだ順番です。
そのため、数字が大きくなるほど新しく出版されたものが多いです。
①『本当はあまり知られていないダウン症のはなし』
ダウン症は「わかって」いない(LD協会・知識の森シリーズ) 神奈川LD協会 2015年
ダウン症協会の代表理事の玉井先生の著書です。基本的なことはもちろんのこと、応用的なことも書かれています。
ダウン症の形容詞として使われることがある「天使のような」。このことばに対する違和感をズバッと答えてくれています。
また、ダウン症の子らが社会をどう捉えているか、など。薄い本なのですが、内容の濃い、貴重な本です。
まだ実際にダウン症の子と関わったことはないけれど、実習で会いそう・・・なんていう学生さんにもおススメです。
②『ダウン症児の学びとコミュニケーション支援ガイド』
診断と治療社 2016年
インリアルアプローチを中心とした支援について書かれた本です。インリアルとは子どもと接するときの技法です。難しいものではなく子どもに合わせてという考え方がベースとなっています。
ダウン症の子たちは人懐っこいと言われています。しかし、そうでない子もいます。
さらに仲良くなるために読んでみるのもよい本です。
③『ダウン症児の療育相談専門医からのアドバイス』
大月出版 1997年
ダウン症の基礎知識や発達に関して書かれている本です。
専門の医師である飯沼先生がQ&A形式で答えています。1997年発行という古い本ではありますが色あせていません。
支援者が療育や保護者支援を行うときに役に立つ知識がたくさん書かれています。
④『ダウン症の子どもの摂食嚥下リハビリテーション』
医歯薬出版 2021年07月
ダウン症特有の口腔内や筋の問題から、ダウン症の発達までカバーした本です。
最近では障害を持つ子どもの「食べること(摂食嚥下)」の本が増えてきました。しかし、ダウン症の食事を中心に書いてある本はまだ少ないです。
そいう意味でもこの本は貴重な本といえます。
⑤『ダウン症のすべて 改訂2版』
中外医学社 2021年04月
ダウン症のことを余すことなく書いてある本です。
出生、かかりやすい疾患、治療や手術の方法、療育、最新の研究(2020年)、医療費助成制度&福祉制度などなど。
値段が高いのですがすべてを網羅している本といえます。
こういう本が増えてきました!
⑥『ダウン症神話から自由になれば子育てをもっと楽しめる』
遠見書房 2021年08月
ダウン症は「こんな感じの子」という偏見?暗黙の了解?を「神話」を称して、それが本当なのかどうかを教えてくれます。
「障害を持つ子は純粋なんですよ」的なことを書いてある本を読んでもまったくためになりません。
それだったら、この本のような「ハッキリと」「正しい」情報が書かれているものを選んだ方が得です。
⑦『ダウン症のこころ』
同成社 2019年05月
ダウン症の専門医?のお医者さんが書いた本です。
比較的新しい本なので、昔から言われ続けていた誤ったダウン症像を訂正してくれています。
エピソードを入れつつ説明しているので分かりやすいです。
「ダウン症」の超・入門書
生まれて初めてダウン症の子や人に関わる。
そんなときの助けとなる本です。
子どもが読んでも理解できる作りになっています。
そんな本が出版されるようになってきたのは、少しずつですが障害が世間に受け入れられるようになってきたからなのでしょう。
『ダウン症のすべてがわかる本』
講談社 2007年10月
絵本のような紙に書かれた専門書?入門書?です。
子どもが読んでも理解できるように簡単なことばで説明してくれます。
ダウン症のことをまったく知らないという人向けです。
あっという間に読めてしまうので、一度、図書館などで目を通してから買うとよいです。
『ふしぎだね!? 新版 ダウン症のおともだち(5)』
ミネルヴァ書房 2019年09月
先ほどの本よりももっと子ども向けです。
友だちの中にダウン症の子がいたらどうすればいい?
そんな視点で説明してくれます。
意外と子どもは偏見なんてないです。
大人が持っている偏見が子どもに移っているケースが多いだけなんですよね。
ダウン症のあるぼくの毎日
大月書店 2022年11月21日
入門書で小学生が読んでも分かりやすい本です。当事者への取材をもとに、どのようなものに興味を持って、どのように暮らしているのかが書かれています。
エッセイ系
ダウン症がテーマのエッセイも増えています。
近年、ダウン症の子のことが書かれたブログも増えてきました。
より「日常」に沿った書かれ方をしています。
気楽に読むことができます。
(順不同です)
『ダウン症児の母親です! 毎日の生活と支援、こうなってる』
講談社 2014年08月
親御さんの本音というか本心が書かれています。
新人ママさん&パパさん、支援者としてはためになる本です。
子どもの将来に向けて、どうやって子育てをしていくのか?
役に立つ様々なデータも書かれています。
『しつけはどうする? 将来どうなる? ダウン症児を育てるってこんなこと』
講談社 2016年01月
先ほど紹介した『ダウン症児の母親です! 毎日の生活と支援、こうなってる』の続編です。
さらに内容がまとまっているので読みやすくなっています。
学校や施設以外ではどんな感じなのかな?
そういう視点で読むと面白いです。
まとめとして
今回はダウン症に関する本を紹介しました。
保護者の方も支援者も、学生さんも、皆さんにオススメできる本です。
今後も都度、紹介する本を増やしていきます。
よかったら参考にしてみてくださいね!
追記 2022.6.10
ダウン症の本も様々なジャンルのものが出てくるようになってきました。
特に子育て系、当事者系のものが目を引きます。
ぜひ「本心」が書かれたものを読んでください。
どうしても「お涙ちょうだい」系の本ばかりクローズアップされがちです。
そういう本が好きな人なら読んだらよいと思います。
それ以外の人は、一冊でも多くの本を読んで正しい知識と誤った知識を学んでみてください。
こんな誤った知識がちまたでは流れているんだ。
こういう見方も大切です。