放課後等デイサービスの個別支援計画を書くときのポイント
障害児保育や放課後等デイサービスでは、子ども一人ひとりに合わせた「個別支援計画」の作成が欠かせません。この計画は、子どもとその家族がより良い生活を送るために、目標を立て、それに向けた支援の方向性を定めるものです。
言語聴覚士(ST)などの専門職も、この支援計画に関わることがあります。専門職も「リハビリの計画書(専門的支援実施計画書)」を作成するのですが、リハビリの計画書と支援職の「個別支援計画書」にズレが生じてしまうこともあります。このズレを埋めてくれるツールが「発達検査」や「知能検査」です。これらの結果を上手く活用することで、支援職との連携がぐっとスムーズになると感じています。
さらに今、注目したいのが「AIの活用」。個別支援計画の下書きや目標設定の参考に、AIツールを使ってみることも、現場を助けてくれるひとつの選択肢になってきました。
今回は、個別支援計画の作成について、専門職から見たポイントを紹介します。
個別支援計画とは?
個別支援計画とは、「子どもや家族のニーズに応じて、どのような支援をいつ・どのように行うか」を明らかにした文書のことです。多くの施設では、半年に一度(年2回)更新されています。
リハビリ職と個別支援計画
個別支援計画は基本的に支援職が作成することが多いですが、専門職が加わるケースもあります。そのときには、「支援や保育の視点で書いてね」と言われることがあります。そこで、専門職だからこそできる視点を意識しながら介入することができるはずです。
個別支援計画の5領域とは?
個別支援計画は、児童発達支援ガイドラインや放課後等デイサービスのガイドラインなどで定められた、児童の成長を包括的に支援するための計画書です。2024年の法改正で「5領域」という考え方が付け加えられました。基本的に以下の5つの領域を柱として構成されます。
・健康・生活
・運動・感覚
・認知・行動
・言語・コミュニケーション
・人間関係・社会性
これらの領域は、子どもたちの発達や生活全体を網羅的に捉えるためのフレームです。それぞれの領域ごとに、本人の現状、課題、支援目標、支援方法などが記載されます。
5領域とリハビリ職の関係
| 領域 | リハビリ職の関わり例 |
|---|---|
| 健康・生活 | 摂食嚥下、排泄行動の支援、安全な生活環境づくりなど(OT・ST) |
| 運動・感覚 | 粗大運動・微細運動、感覚統合、姿勢保持など(PT・OT) |
| 認知・行動 | 注意・記憶・切り替え、問題行動への対応(OT・ST) |
| 言語・コミュニケーション | 発語、理解、会話、AACの導入など(ST) |
| 人間関係・社会性 | 集団参加、やりとり、社会的ルールの理解(ST・OT) |
上記の表は、5領域へのリハビリ職の関わり方(例)です。
その他にも、食事に関することならPT・OT・STが関与できますし、認知面、発達面にもSTが参加することは十分に可能です。
STがより深くかかわるために
STも訓練計画を立てますが、それとは別に、保育スタッフが作成する「個別支援計画」への関わりもあります。具体的には次のような関わり方が考えられます。
① 目標達成へのアドバイス
保育職が立てた長期目標に対して、過程の支援が弱い・ズレていると感じたときには、専門職として補足したり、調整を提案したりします。相手の努力を否定せず、寄り添いながら提案するのがポイントです。
② 多職種の意見を整理して伝える
ST一人では視点が偏ってしまうこともあります。だからこそ、PT・OT・心理職・歯科医師などの意見も聞いた上で、「専門職チームとしての意見」として保育職に伝えると、より納得感を持ってもらえます。
支援計画の書き方ポイント
支援計画の文章を書くとき、特に気をつけたいのは「誰に向けた資料か」を意識することです。保育スタッフが主な読み手なので、次のような点に配慮しています。
① 専門用語を使わない
専門職の報告書ではよく使う用語も、保育職にとっては「???」になりがち。伝えたいことが伝わらないのでは意味がありません。「誰が読むか」を意識し、やさしい言葉で書くようにします。
② ポイントを絞る
発達の全体像を書くのは大事ですが、詰め込みすぎると読みにくくなります。全体像、課題、できること、提案をシンプルにまとめましょう。
・発達段階(例:発達年齢 ○歳相当)
・保育でできることの提案
・気になる行動への対応策
※発達年齢は「高すぎる要求をしていないか」を考える参考にもなります。
③ 偉そうに書かない
読み手の気持ちを考えると、上から目線はNG。支援はあくまでチーム戦。「一つの視点としての提案」にとどめる方が、保育職との関係もスムーズになります。
人数が多い現場では差があって当然
保育スタッフの人数が多い放課後等デイサービスでは、支援計画の質にバラつきがあるのも自然なことです。
経験の浅いスタッフが書いた計画には、目標があいまいだったり、方針が見えにくかったりすることもあります。そんなときには、「将来どうなってほしい?」「1年後にはどうありたい?」と、対話を重ねながら一緒に考えていくことが大切です。
検査結果は判断材料になる
発達検査や知能検査は、子どもの「今の状態」を整理して伝えるツールです。これは、障害の有無に関係なく有効です。
・言語面が苦手な子は「行動」で示す傾向がある
・注意が持続しない子には、支援者側の工夫が必要
※こうした情報は、検査を通して見える化できます。ただし、検査は「決めつける」ためのものではありません。支援の方向性を考える“材料”として使うのがポイントです。
AIも使ってみよう
最近では、個別支援計画の作成をサポートするAIツールも登場しています。STや保育職が検査データや観察記録を入力すると、AIが文章の下書きをしてくれるものもあります。
※ただし、AIがすべて正しいとは限りません。「人が考える」→「AIに任せる」ではなく、「人が考えたことをAIに助けてもらう」という使い方が現実的です。
まとめとして
言語聴覚士の立場から見ても、支援計画づくりは「支援職と専門職の協働」があってこそ意味のあるものになります。そしてその過程で、発達検査・知能検査・AIなど、いろいろなツールを上手に使っていくことが、子どもたちにとってのよりよい支援につながっていきます。
専門職だからこそできる提案を、押しつけにならないよう丁寧に、分かりやすく伝えていくこと。そして、周囲と信頼関係を築いていくこと。それが、チームの力を最大限に引き出すカギだと感じています。
よかったら参考にしてみてくださいね。



