言語聴覚士は放課後等デイサービスで何ができる?

放課後等デイサービスで言語聴覚士(ST)としてできること、役割を探っていくブログです

発達が初期段階の子はどのように世界を捉えているのか?

自分を取り巻く世界に気づく?



発達が初期段階の子は「自分」以外の存在に気づいていないことがあります。

そのため、周囲からの声かけなどに反応しない、というようなことが起こります。

障害が重い子の中には、発達が初期で止まっている子もたくさんいます。

今回は、外にある世界に気づくために必要なことは何か、というはなしです。

※スピリチュアル的なはなしではなく、子どもの発達のはなしです。

 

 

自分の外にも世界は広がっている

ちょっと哲学的な言い方かもしれません。

しかし、発達が初期段階の子は、自分の外に世界が広がっているなんて思っていないケースが多くあります。


「内側」と「外側」とは

・自分には「内側」と「外側」がある

・内側=感覚

・外側=知識やルールなどの情報

・発達が進むにつれて両方理解できるようになる

・障害を持っていると「内側」しか理解できないまま

 
情報を得られないと、どうなるか?

・目の前にあるものを理解できない

・聞いたことを理解できない

・自分がやって何かが変化するとは思っていない
 (exl. スイッチがあっても押す意味が分からない)

 

情報が理解できないと

・いま、何をすべきなのか?

・これから何をすればよいのか?

も分かりません。そのため、自分の中ー感覚の世界ーだけで生きていくことになるのです。

 

  

外の世界から情報を取り入れるとは?


少しわかりにくいですが・・・

私たちは普段から無意識的に外からの情報を取り入れています。

 
・目の前でボタンが光っている ⇒ 押してみよう

・あの人は怒った顔をしている ⇒ じゃあ近づくのを止めよう

 

周囲から情報を取り入れることで「自分が今どんな状況」で「何をすればよいのか?」が分かりやすくなります。

発達が初期段階の子は外にある情報を取り入れることができていません。

そのため「次に何をすればよいのか」という適切な考えや行動に移すことが難しいのです。

 

発達が足止めを食らうと問題が起こりやすい

 

外からの情報や意図に気づかなけれは、必然的に意識は自分の内側に向くことになります。次になにをすべきか?も分かりません。そのため

・ずっと自分の手を触って遊んでいる

・自分の顔を叩いている(自傷行為)

という行為が増えてきます。人や物へ関心を向けることがほとんどありません。

感覚遊びに前意識が集中していれば、他人からの声をかけられても気づきません。

そういう状態だったら、コミュニケーションの力も育っていかないのです。

 

「気づき」を促してあげる

 

ではそういう子に対してどうすればよいのでしょうか?

発達初期の子は、物事を「快・不快」で判断しがちです。

「快・不快」とは、心地よいか?不快か?という二択です。

しかも、「好き嫌い」ではなく「受け入れられるか否か」という状態です。

だから、子どもが好きな(受け入れられる)感覚刺激を使ってアプローチをしていきます。

 

・シーツブランコの「揺れ(前庭覚)」
・水遊びの「触覚」「固有覚」
・抱っこ遊びの「圧覚」「触覚」

 

これらの感覚を使って外からの刺激に気づいてもらうことを目標にします。

感覚遊びを繰り返していくうちに「なんだこれ?心地よいな」という気づきが生まれてきます。子どもの意識がはっきりとしてくるのです。

これまでは「すりガラスで囲まれたような状態」であった子でも、ガラスがクリアになってくる印象を受けるようになってきます。

 

 

まとめとして

今回は発達初期の子の「世界の捉え方」を簡単に説明しました。

感覚遊び、ぜひやってみてください。

感覚遊びにだって目的や役割があるんです!

  

 

<参考文献>